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期待がかかるデトロイトレース2は歯車がかみ合わなかった琢磨「すべてが裏目にでた」

2018年06月04日 13:11  AUTOSPORT web

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得意のウエットもタイヤに問題があり上位グリッドを獲得できなかった佐藤琢磨
インディカー・シリーズ第8戦となるデトロイト戦日曜のレースは下り坂の天気予報の通り、朝9時過ぎから大雨となりしばらく降り続いた。もしかすると予選がキャンセルされるのでは?と思う程の大雨だったが、午前10時45分の予選開始時間の前には雨は上がりつつあって、路面清掃の甲斐もあり、ウエットコンディションながらほぼ予定時刻通りに開始となった。

 琢磨は悪天候でもこのデトロイトのコースは得意としていたし、本人も「ヘルメットの中でやった!と思っていた」と言う程だった。

 2グループに分かれ、今回は最初のグループのタイムアタックで、琢磨の走りに大いに注目が集まったが、最初のアタックラップ以降タイムが上がる兆しを見せず、むしろほかのマシンにどんどんと抜かれていく。

 トップは1分33秒中盤で周回しているのに琢磨は1分37秒台で、そこからは浮上してくることなく終わった。このグループで10番手でクラッシュしたトニー・カナーン、走行できなかったレネ・バインダーを除けば、ほぼ最後尾。マシンを降りた琢磨は意気消沈していた。

「まったくと言っていいほど、グリップしなかった。タイヤの内圧が原因なのか、他に原因があるのか今はわからないけど、何かがおかしい……」

 恵みの雨か、琢磨に流れが向いてきたかと思ったが、そのチャンスを有効に活かすことは出来ず、グリッドは総合20番手からのスタートになった。

 予選後に雨は止み、レーススタート時には完全なドライコンディションに。

 しかし、スタート時に珍事が起こる。シボレーコルベットのペースカーがスタート直後にターン2を回った所でコントロールを失ってウォールにヒット!

 破片を撒き散らしてその場にストップ。後続のインディカーは一斉にそこにとどまることになってしまった。幸いにもドライバーに怪我はなく、インディカーの列にも異常はなかったが、レースは45分ほど遅れてスタートになった。

「昨日のライアン(ハンター-レイ)のように、うまくピットに入って積極的な3ストップ作戦を考えてました」と言う琢磨は、スタートのドタバタを避け、ポジションを上げてレースが始まった。レッドタイヤのグリップが落ちてきた9周目にすぐさまピットに入り、タイヤ交換と給油を行う。

 ピットアウトすると同様の作戦を取っていたペンスキーのシモン・パジェノーやジョゼフ・ニューガーデン、トニー・カナーンらがいたが、カナーンは先へ行ってしまったものの、ペンスキーの2台に蓋をされる形でペースを抑えられてしまう。


 この時点で17~18番手だったが、2度目のピットインは、デビューレースのサンティーノ・フェルッチがスピンしクラッシュした時点でボビー・レイホールがピットに入れとコール。琢磨はすぐにピットに入ったが、フェルッチが自走でコースに戻れたためにイエローコーションとはならず、ここでの順位挽回はならなかった。


 最後のピット後では、ペースを上げつつも前にいるジェイムズ・ヒンチクリフに追いついたが、プッシュ・トゥ・パスを使っても彼を攻略することができず、むしろトップを走っているハンター-レイにラップダウンされることになってしまった。

「今日はやる事がすべて裏目に出てしまうような一日だった。クルマは昨日から大きく変えてはいないけれど、前のクルマを抜いていくようなスピードはなかったし、ここ(デトロイト)は期待していただけに本当に残念です」と言う琢磨。

 昨年はグラハム・レイホールが圧倒的な速さを見せたデトロイトだったが、ニューエアロキットとなった今回は彼も5位止まりで、レイホール・レターマン・ラニガンはここでのアドバンテージを失ってしまったようだ。

 琢磨は第7戦5位入賞の勢いで、今日のレースでも期待はかかったのだが、噛み合ったかのように見えた歯車は、またわずかに狂ってしまったようだ。

 しかし今週末にはテキサスでのレースが控えている。「今は何をどうやっても……」ともがき続ける琢磨だが、その壁を乗り越えてくれることを祈ろう。