トップへ

若者の5割超「車もたなくていい」、維持費に負担感…批判根強い「走る税金」の実態

2018年06月04日 10:22  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

「走る税金」とも言われる車について考えたいと思います。少し前の話ですが、日本自動車工業会(自工会)の2017年度の乗用車市場動向調査によると、車をもっていない10代ー20代の社会人などのうち、「あまり買いたくない」と「買いたくない」を足し合わせた割合が、前回調査(2015年度)より微減しているものの、引き続き5割を超えました。


【関連記事:痴漢の高齢男性に女子高生が「回し蹴り」…正当防衛と過剰防衛の線引きは?】


レンタカーやカーシェアリングといった、保有しないうえでの車との関わりへの興味はあり、車をもつことでかかる維持管理費などの負担感がネガティブに働いているようです。


●軽自動車、40万近い維持費も

実際、車の維持管理には多くの費用がかかり、税金の負担も大きいです。「価格.com」のサイトではボディタイプ別に維持費を紹介していますが、ガソリン代や保険料など一定の条件のもと、年間維持費を算出すると、以下のような結果になっていました。


<ホンダの人気軽自動車「NBOX」の場合=39万4600円>


自動車税:1万800円


自動車重量税(1年あたり):5700円


自賠責保険料(1年あたり):1万985円


自動車保険料:6万2000円


車検費用:1万3400円


ガソリン代:6万5315円


駐車場代:18万円


オイル交換代:1万円


タイヤ代:8千円


高速料金:2万8400円


もちろん、日々の使い方や駐車場代によっても金額は変わるので、ひとつの目安とするべきでしょう。ただ税負担が比較的軽く、維持費が少ない軽自動車だったとしても上記のような金額になりうることを知っておいて損はなさそうです。


●ガソリン税と消費税で「二重課税」

冨田健太郎税理士は自動車にまつわる税金について、大きく3パターンに分類します。


・自動車の取得に係る税金:自動車取得税、消費税


・自動車の所有に係る税金:(軽)自動車税、重量税


・自動車の使用に係る税金:ガソリン税、軽油引取税、消費税など


以下、冨田税理士に自動車に関する税金について聞きます。


ーーマイカーを持つと多くの税金がかかりますね


「若者の車離れが進んでいると言われて久しいですが、若者だけでなく相当の方が自動車を所有しない時代になってきたのではないでしょうか。自動車は所有しているだけで、税金・駐車場・保険などのコストがかかります。であれば、カーシェアリングなどのサービスを使いたいというのは当然なのかなと思います」


ーー二重課税の問題について教えてください


「ガソリン税は消費税との二重課税が生じています。すなわち、ガソリンを購入した場合、ガソリン本体価格とガソリン税の合計額に対して消費税が課せられています。税金に対して税金が課せられていることになり、これを二重課税と言います。


税金は原則として二重課税を禁止していますが、ガソリン税やたばこ税など一部例外があります。小難しい理屈はあるのですが、個人的には贅沢品には二重課税してもいいじゃないかという考えが表れているのではないかと思います」


ーー軽油の会計処理については注意が必要だそうですね


「ガソリン税は二重課税なのですが、軽油引取税は二重課税になりません。軽油は軽油本体価格にのみ消費税が課せられますので、軽油引取税部分については不課税取引となります。


これを誤って、ガソリンと同じ処理をしてしまいますと課税仕入が多くなり、消費税の納税額が少なくなってしまいますので、注意して下さい。業務で軽油を使っている事業者の方は、仕訳に注意です」


ーーマイカーの所有者は今後減っていくのでしょうか


「自動車を所有する時代でなくなってきたのかも知れませんが、マイカーを持つ魅力というのは少なからずあるかと思います。私自身も自動車の所有者であり、いつでも好きな時に好きな車に乗って出かけられる魅力がもっと伝わるといいなぁと思っております」


【取材協力税理士】


冨田 健太郎(とみた・けんたろう)税理士


税理士はお客様にとって「かかりつけ医」のような存在であるべきと考えております。そのため、当事務所ではお客様との対話を最も大切にしております。よく話を伺い、それを踏まえた最善の提案をご理解頂けるまで何度でも説明致します。


事務所名   : 税理士冨田健太郎事務所


事務所URL: http://zeirishiken.com/