インディ500という一大イベントが終わりながらも、休むことなく連戦を続けるインディカー・シリーズ。今週はデトロイトに移動し第7戦と第8戦のダブルヘッダーとなる。
佐藤琢磨はこのデトロイトとは相性も良く好きなコース。過去にポールポジションを2回。表彰台も獲得している。
金曜日のプラクティスではリヤブレーキにトラブルが発生し13番手にとどまっていた。
土曜日の第7戦は午前に予選を行ったが、6月にしては寒いコンディション。琢磨はそこでグループ2の4番手。総合で7番手のグリッドを獲得。チームメイトのグラハム・レイホールは8番手となり、レイホール・レターマン・ラニガンの2台は4列目からスタートすることになる。
しかし、この2台の戦略が分かれた。琢磨はレッドタイヤ、グラハムがブラックでスタートする戦略を取ったのだ。
琢磨はスタートでインディ500ウイナーのウィル・パワーを抜き6番手に、その後、前のロバート・ウィケンスがピットに入り、ライアン・ハンター-レイも抜いてポジションを4番手に上げていく。後ろにはグラハムもひたひたとついてくる。
レッドタイヤのグリップが落ちてくると琢磨はグラハムに前を譲ったが、燃料とプッシュ・トゥ・パスをセーブしながら、20周目に1回目のピットストップに入った。
レース中盤30周目にほとんどのマシンが1回目のピットを終える頃には7番手に戻っていた。45周目に2度目のピットインを終えるとスコット・ディクソン、アレクサンダー・ロッシ、ハンターレイ、マルコ・アンドレッティ、エド・ジョーンズに続く6番手となっていた。
直後にチームメイトのグラハムがクラッシュし、イエローとなるがリスタートの際にタイミング良くジョーンズをかわして5番手に浮上。
しかし、琢磨はこの頃から極度のオーバーステアに悩まされ、無線でもピットのボビー・レイホールに頻りにハンドリングの不調を訴え続けていた。すでに最後のピットを終えており、もうどうすることも出来ず、琢磨はハンドリングが悪いまま前のマルコを追うことになる。
幸いにも琢磨にはプッシュ・トゥ・パスが100秒近く残されており、マルコを抜くチャンスは十分にあるかに思われた。マルコを追おうとする琢磨だったが、ハンドリングの不調のままでは攻略するまでには至らず70周目のチェッカーを迎えた。
琢磨は「イエローコーション後の最後のハンドリングの不調はどうにもならなかったですね。オーバーステアが酷すぎました。タイヤの内圧のせいかなんなのか、まだ原因はわかっていませんが、明日に向けては改善しておかないといけない部分ですね」
「グラハムとは戦略がわかれましたが、スタートは当たらないようにしようと話していましたし、レッドタイヤのグリップが落ちてからは彼を先に行かせました。おそらく路面の状況と彼の戦略がうまくマッチしていたと思います」
「今日はライバルのクルマともピットの戦略がわかれましたけど、ハンターレイは最初抜いたけど、また前にいましたからね(笑)」
「明日は雨になりそうですけど、コンディションが変わるのはウェルカムですね。トップの方とはちょっとスピード差もあるし、すぐに追いつく方法も見つかるわけじゃないですから、コンディションが変わるのは前に追いつくチャンスになると思います。もちろんこちらが離される可能性もありますけどね」
「予選がドライで、決勝が雨なら面白いレースになるかもしれません」
相性の良いデトロイトでようやくいい流れが見えて来た。今季最高位でランキングも12位まで挽回できた。不運続きだった序盤戦。特にインディ500はその象徴のようなレースだったが、ここからの挽回に期待しつつ、明日の第8戦を楽しみにしよう。