エン・ジャパンは5月29日、「高齢者雇用」についてのアンケート調査の結果を発表した。調査は、同社が運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」上で実施。241社から回答を得た。
2013年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、65歳未満を定年とする企業は、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制の廃止の、いずれかの「高年齢者雇用確保措置」を実施しなければならないと定められている。
今回の調査では、高年齢者雇用確保措置を行った企業は72%で、このうち93%が継続雇用制度の導入をしていた。継続雇用後に変更した条件や勤務形態を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「給与を変更する」の84%、続いて「雇用形態を変更する」の70%だった。勤務形態や待遇が「定年前と変わらない」企業は13%だった。
「できれば62~3歳で引退してほしい。法律だから仕方なくやっている」と消極的な企業も
高年齢者雇用の目的を聞いたところ、「経験や知識の活用」を挙げる企業が79%で最も多かった。顧客との関係性、年齢を重ねた分の気配りや人当たり、丁寧さに期待するという声や、「知識や人脈を持ち、企業イメージアップにつながる」という声も出ている。
一方、高齢者の雇用で最も多く挙がった課題が「世代交代の停滞」(44%)だ。ベテランである高年齢者を採用することで、「本来権限を持つはずの若い世代が遠慮・萎縮する」という懸念があるためだ。
今後の高年齢者雇用は、「法定義務の範囲で対応していく」方針の企業が46%で最も多い。「状況を見て対応を検討する」企業は35%で、「法定義務の範囲を超え自主的に対応する」と、高齢者雇用に積極的な姿勢を見せた企業は13%と少なかった。
法定義務以上の対応をするという回答は、
「設備設計業界は慢性的な人手不足。健康面・意欲面で問題なければ70歳までは設計者として続行可能」(設備設計)
「求人状況が厳しいため、高年齢者を活用することで当面は対応していく」(流通・小売関連)
と、人手不足に陥っている業界から出ていた。ただ、同じく人手不足になりやすいサービス業からは、
「できれば62歳、長くても63歳くらいで引退していただき、世代交代していくほうがありがたい。しかし、法律なので仕方なく行なっている面がある。62歳くらいから、体調や精神面で第三者から見て、老化による能力の低下を感じさせる方が増える傾向にある」(サービス関連)
というシビアな意見もあった。