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最高裁、正社員との「手当格差」は「一部、不合理」 皆勤手当の格差も問題視〈ハマキョウレックス〉

2018年06月01日 16:02  弁護士ドットコム

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正社員と非正社員の手当格差をめぐる訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は6月1日、手当の格差は「一部、不合理」とする判断を示した。


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最高裁は、新たに「皆勤手当に格差を設けることは不合理」と判断。通勤・無事故・作業・給食の4手当については、格差を不合理とした大阪高裁判決を支持した。なお、原告側が上告していた住宅手当は認められなかった。


ただし、皆勤手当については、事実関係を精査するため、高裁判決を破棄して大阪高裁に差し戻しとなった。原告側弁護団は「皆勤手当の差額の損害賠償は認められると確信している」と話している。


原告側代理人の中島光孝弁護士は、「内容面、結果面ともにかなり前進している。今後の裁判の指針となる判決で、全国の非正社員の格差解消に向けた一歩だ」と高く評価した。


●これまでの経緯

今回の裁判は、物流会社「ハマキョウレックス」(静岡県浜松市)の滋賀県内の支店に勤務する池田正彦さん(55)の上告審。池田さんは2008年から契約社員のドライバーとして働いていた。正社員と同じ仕事内容にも関わらず、契約社員には手当の一部しか支給されていないなどとして、2013年9月に提訴していた。


労働契約法20条は正社員(無期契約労働者)と非正社員(有期契約労働者)との間で、不合理な労働条件の違いを禁止している。格差の合理性については、(1)業務の内容や責任の程度(2)内容や配置の変更の範囲(3)その他の事情ーーの3要素を考慮して判断する。ただ、具体的にどのような格差が不合理かは解釈の問題となっていた。


原告側は「職務内容に違いがないのに、格差を設けること自体が不合理」と主張。会社側は「人材の獲得や定着のために、正社員に対して福利厚生を充実させることは合理的な裁量の範囲内」などと反論していた。


一審の大津地裁彦根支部は、通勤手当の不支給のみ違法と認めて、会社側に対して1万円の支払いを命じた。


二審の大阪高裁は、正社員に支給される7種類の手当のうち「通勤手当」、「無事故手当」、「作業手当」、「給食手当」は、契約社員にも支払われるべきだと指摘。不支給は同法20条違反に当たると判断し、会社側に77万円の支払いを命じた。


一方、乗務員が全営業日を出勤したときに支給される「皆勤手当」と「住宅手当」については、正社員のみの支給が不合理ではないとした。その後、双方が上告していた。


(弁護士ドットコムニュース)