タトゥーや入れ墨が入っている人の利用を公式に認める銭湯が5月29日ごろからツイッター上で話題になっている。
千葉県成田市にある「大和の湯」は、露天風呂やサウナを備えた温泉施設。体温より1~1.5度高い浴室の中で体を温めるラディアントバス(輻射熱温浴)もある。土日祝日も入館料1000円で天然温泉を楽しむことができる。
「ファッション・タトゥーを入れている外国人観光客の方も多いです」
公式サイトのQ&Aでは、「刺青があるのですが利用できますか?」という質問に対し、「刺青がある方の入館を特にお断りしてはおりません。ここ最近、特に若い人の間でファッション・タトゥーも流行しているように、刺青そのものが問題視される時代ではなくなってきているようです」と回答している。
かつて刺青は暴力団員や犯罪者が入れるイメージだったが、今はファッションとして彫っている人も多い。刺青を理由に入浴を断るのは理にかなっていないということだろう。
大和の湯の担当者は、キャリコネニュースに対し、
「12年前にオープンした時から刺青の方でもご利用いただけるようにしています。和彫りを入れている方でも問題ありません。ファッション・タトゥーを入れている外国人観光客の方も多いです」
と話す。当初は入浴客から「どうして刺青の人がいるのか」という疑問が出ることもあったが、今はそういった苦情もほとんどない。トラブルが起きたこともないという。
「大和の湯では人を見かけで判断することはしません。そのように努力していくことが新しい温泉の姿だと思います」
観光庁は「入れ墨があることで衛生上の支障が生じるものではない」と指摘
観光庁の調査(2015年)によると、全国のホテル・旅館約600か所のうち、刺青がある人の入浴を「お断りしている」施設が55.9%、シールで隠すなどの「条件付きで許可している」が12.9%、「お断りしていない」が30.6%だった。
実際に刺青をした人の入浴についてトラブルが発生しているかどうか聞くと「ない」が78.3%となっている。しかし刺青を入れた人に対する苦情が「ある」は47.2%。実際にトラブルが起きるというよりも、周囲の入浴客が嫌がることがあるようだ。
しかし外国人観光客の増加に伴い、刺青やタトゥーへの対応を見直す必要が出てきている。同庁は2016年3月、入浴施設に対して「宗教・文化・ファッション等の様々な理由で入れ墨をしている場合があることに留意」するよう求める通知を出している。
通知では「入れ墨があることで衛生上の支障が生じるものではない」とも指摘。入浴を断るのではなく、シールで入れ墨を覆ってもらったり、家族連れが少ない時間帯を案内するなどの対応をするよう促している。