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「コナン ゼロの執行人」なぜ"安室の女"になってしまうのか? "100億の男"にしたい安室透の魅力とは

2018年05月31日 19:23  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

『名探偵コナン ゼロの執行人』メインカット(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
2018年4月より公開された劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』が大ヒットを記録している。元より高い人気を誇る劇場版「名探偵コナン」シリーズだが、ここ数年で一気に興行収入が上昇し、毎年更新し続けている。しかも本作は公開1カ月で前作の記録を抜くという勢いだ。

その人気を牽引しているのが、本作のメインキャラクター、安室透である。SNS上では劇場版を見た人達から「安室透の女になった」というパワーワードが飛び交うほど。なぜ人はここまで「安室透の女」になってしまうのか?
本稿では、その理由を『コナン』ファンであり、実際に「安室透の女」になってしまった筆者が、劇場に何度も足を運んで見えてきたその理由から解説する。

なお、安室透というキャラクターがどんな人物なのかは、先日掲載した解説記事をご覧いただきたい。
>その記事はこちら【『名探偵コナン』安室透って何者? “ゼロの執行人”を観る前に知っておきたい彼の3つの顔とは】
◆イケメン超人・安室透
まず、人気の高さはビジュアルの良さにある。見た目というのは一番分かりやすく、興味を引きやすいものだ。
そんな彼の見た目は、褐色の肌に金色の髪の毛。どちらかというと女性キャラに多い容姿だ。作品内でも服部平次や京極真らが褐色だが、金髪は安室透のみ。
身長は公言されていないものの、コナンとの対比でかなり高いことが分かる。さらに料理、車の運転、テニス、ギターの演奏、ボクシングなどを嗜み、全て完璧にこなす

さらにこの安室透という人物は“トリプルフェイス”の男だ。ある時は毛利小五郎の弟子をしながらポアロでアルバイトをする探偵・安室透、ある時は黒の組織で危険な任務もこなすバーボン、ある時は公安警察の降谷零。
多重人格ではなく、3つの顔を使い分けて日々仕事をこなしている。そんな裏の顔を持っているというところも、ファンの心をくすぐる部分だろう。
→次のページ:まさに安室透のPV? 彼の魅力が存分に味わえる、劇場版の秀逸な構成

◆まさに安室透のPV? 彼の魅力が存分に味わえる、劇場版の秀逸な構成
基本的に劇場版「名探偵コナン」シリーズは、「江戸川コナン」、「劇場版のメインとなるキャラ」、そして「ヒロインの毛利蘭や阿笠博士などのレギュラーキャラ」の3つのバランスで成り立っている。ゲストキャラクターももちろんキモだが、基本的に全編を通してこのトライアングルが絶妙なバランスを保って、子どもから大人まで楽しめる面白さを作っているのだ。
しかし、今回はメインキャラである安室透のカッコよすぎる活躍により、「安室透の女」という化学反応が起こっている。

安室透は確かに『ゼロの執行人』のメインキャラだが、今作で飛び抜けて登場シーンが多いわけではない。正確に測ったわけではないが、毛利蘭や少年探偵団らレギュラーキャラたちと比べても、そこまで大きな差はないだろう。
そして本人はカッコいいだけでなく、どこか底知れない怖い雰囲気も持つ男性として描かれている。特に今作の劇場版で初めて安室に触れる観客は、そうした認識を持つのではないだろうか。

しかし、最後には安室透の虜になる。これにはSNSの影響も大きくあると考えていて、実際にSNSでの安室透の盛り上がりを見て鑑賞した人たちは多くいる。
事前知識がない人は、後半あたりでだいたい彼のことを分かった気になるだろう。しかし、分かった気になってからの終盤がとんでもない威力を持つ。彼が見せたことのない顔ととびきりの甘い台詞で、人々のハートを射止めるのだ。

カーアクションのシーンから、エンディングに辿り着くまでの盛り上がり。それが本当に素晴らしい。音楽用語に「クレッシェンド」という「だんだん強く」という記号があるが、まさに最後の10分ほどは安室透の魅力がクレッシェンドしていく。まるで大晦日に演奏される「第九」の盛り上がりのよう。
そして死ぬほどカッコいいメインテーマが終わりクライマックスを迎え、「おめでとう、あなたは安室透の女として執行されました」と福山雅治のエンディングで祝われるのだ。執行されたと言うのは、ファンによる「視聴した」「安室さんに心を奪われた」的なことで使われているのだが、とにかくこんな構成、抗えるわけがない。

◆『名探偵コナン』で光る安室透という存在
最後に話しておきたいことがある。コナンは基本的に高校生以下が中心の子どもたちの物語だ。毛利小五郎など周囲には大人もいるが、コナンが捜査のために利用していることが多く、コナンと肩を並べて行動したり対立するのは、基本的に少年探偵団たちや服部、怪盗キッドといった高校生以下の人物たちがほとんどなのである。

しかし、安室透は大人でありながらそこに介入してきた。安室と同様に人気の高い赤井秀一もそうだが、彼に比べて安室はさらに踏み込んでくる。しかもコナンに対等に接してくる。それが子どもたちの物語のスパイスとなり、より作品を面白くしているのだ。
本人が魅力的なのはもちろんだが、安室透は『名探偵コナン』の登場人物だからこそ最高に魅力的なのだことだが言っておきたい。

ここまで安室透を語ってきたが、立川譲監督や脚本家の櫻井武晴氏、音楽の大野克夫氏、イメージボードのloundraw氏、多くのスタッフたちのおかげで今回の劇場版はできている。感謝をこうして記事にしたためることしかできないのが心苦しいが、公開から1カ月経ち、劇場館数も縮小しはじめているので、興味があればぜひ見に行ってほしい。
というのも、ファンの間では本作の興行収入100億円にし「安室透を100億円の男にする」活動が盛んなのだ。そして筆者も安室透を100億の男にしたいひとりなのである。
そしてあなたが作品、または安室透に魅了されたとしたら、私と同じことを思うだろう。さて、次はいつ見に行こうか?と。