日本大学アメフト部の危険プレー問題で、関東学生アメリカンフットボール連盟が5月29日に記者会見を行い、内田前監督の強権・支配体制が次々と明らかになった。【日本大学の口コミはこちら(キャリコネ)】
31日放送の「バイキング」(フジテレビ)では、MCの坂上忍さんが、精神的に追い込まれていた選手の気持ちに寄り添い、長い芸能生活の中で「1回だけ、どうしようもなく耐え切れず途中降板したことがある」というエピソードを明かした。(文:okei)
追い込まれた選手たちは「もう辞めようかと思った、地獄だった」と振り返る
連盟が行った約20人のヒアリングによると、チームの雰囲気ガラッと変わったのは、内田氏が日大アメフト部の監督に再就任した2017年から。練習時間が長くなり、コーチも厳しくなった。監督の気に障るとコーチも選手も突然辞めさせられるため、監督に盲従せざるを得ない状態だったという。
内田監督は、有望な選手を精神的に追い込んでさらに頑張らせ、もう一歩上のレベルまで向上させるという指導スタイルを好んだとのこと。
「見込んだ選手、活躍しそうな選手をとらえて全員の前で名指しして酷評し、『結果を出さなければ干すぞ』と、すなわちレギュラーから外して試合に出さないというふうに圧力をかけ、ひたすら厳しい練習を課し、時に理不尽ともいえる要求をして精神的にも圧力をかける」(関東学連・森本啓司規律委員長)
これが、対象者をかえて何度も繰り返されていた。選手の間では、運悪くこの対象者になってしまうことを"はまる"と呼び、経験者たちは異口同音に「もう辞めようかと思った、地獄だった」と思い出していたそうだ。2018年の春に"はまって"しまったのが、宮川選手だった。
「追い込まれてる人間ってけっこう視野が狭くなっちゃうから」
話を聞いた坂上さんは、沈痛な面持ちで「俺もね、1回だけ、途中で降板したことがあるんですよ」と過去を振り返った。
「子役からやってきて、それだけはやっちゃダメだって刷り込まれてるのに、どうしても耐えられないくらい追い込まれて、一回だけ直訴しにいったんですよ。僕もう無理です、降ろしてくださいって」
それは今でも後悔として残っているというが、一方で
「僕はそれを嫌々続けなくてよかったと思っているんですよね。だからもうこういうのを見るとホント胸が苦しくなる。その追い込まれ加減っていうの?逃げ場がない追い込み方する人ってけっこういるから」
と、追い詰められた選手の気持ちに寄り添い、共感していた。
「追い込まれてる人間ってけっこう視野が狭くなっちゃうから。でも、わかってる人ってちゃんと逃げ場を用意しててくれるわけよ。パっと冷静になると『あ、こっから逃げれるんだ』とか、救ってくれる人を用意してくれてたりもして、それだったら少しずつ、成長させてもらえるって気はするんだけどね」
日大アメフト部のコーチ陣は、監督からの逃げ場にはなっていなかった。問題のプレーの後、退場となった宮川選手に井上元コーチは「次に試合があるから気にするな。お前が成長できるならいいじゃないか」と声をかけている。人にケガさせたことを「成長」と言ってしまうほど、コーチも追い詰められていたということか。
スポーツライターの小林信也氏は、「この人たちの言う成長ってなんなのかわからないですよ。全然成長なんかしてないじゃないですか」と憤りをあらわにしていた。