技術の均衡を図るEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー)によって、ハイブリッドを搭載するトヨタと、ハイブリッドをもたないプライベーター勢が同じクラスで戦うことになった今年のル・マン24時間。日本のファンとしては気になる、けど情報の少ないトヨタのライバル=LMP1プライベートチームのポテンシャルを、独自取材をもとに“査定”した。
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■レベリオン・レーシング
#1:アンドレ・ロッテラー/ニール・ジャニ/ブルーノ・セナ
#3:トマ・ローラン/マティアス・ベッシェ/グスタボ・メネゼス
採点(5点満点)
ドライバー力:5点
クルマのデキ:4点
チーム力:4.5点
過去の実績:5点
チームスピリット:4点
イギリスに本拠地があるセバー・レーシングが、これまで現場のオペレーションを行なってきたレベリオン・レーシング。シャシーのオーナーは、スイスの実業家であるアレクサンダー・ペスチ氏。彼が持つ高級時計のブランド名が『レベリオン』だ。
WEC世界耐久選手権が設立された2012年からLMP1-Lクラスに継続参戦。昨年は、台数が減ってしまったLMP1-LからLMP2クラスに戦いの場を移し、シリーズチャンピオンを獲得した。LMP1-Hのメーカーワークスがトヨタだけとなってしまった今年は、ふたたびLMP1ノンハイブリッドクラスに復帰。シャシーはオレカと共同開発したレベリオンR13で、エンジンはギブソンを使用する。
今季のもっとも大きな変化はチーム体制だ。セバー・レーシング代表のバート・ヘイデン以下、数人のイギリス人メカニックは現場に留まっているが、オレカから多くのスタッフが送り込まれ、ピット内にはフランス語が飛び交っている。
また、昨年までトヨタ・レーシングのウェアを着こんでいたオレカの代表、ヒュー・ド・ショナックが今季はオレカのウェアを身にまとい、常にレベリオン・レーシングのピットに帯同している状況だ。コンストラクターは自チームで参戦することが禁じられているため、名前こそレベリオン・レーシングなわけだが、チームの内情はほぼ“オレカ・ワークス”と言っていいだろう。
ドライバーの布陣も強力。とくに1号車は、ロッテラー/ジャニ/セナのプラチナトリオ。実は、トヨタにも不在のル・マン総合優勝経験ドライバーを擁しているのは今年このチームだけ。もう1台の3号車にも、WECでポテンシャルを見せている若手ドライバーたちを起用している。
不安な点があるとすれば、マシンの熟成。仕上がりが遅かったため、まだまだテストが不足している。スパで6時間を走り切る耐久性をいきなり見せたのはさすがだが、ル・マンでの24時間に耐えられるかどうかは見ものだ。
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このほか、ジェンソン・バトンが搭乗するSMPレーシングやニスモエンジンを搭載するバイコレス・レーシング・チームなど、気になるプライベーター全8台・5チームの“戦力査定”企画は、6月1日(金)発売のauto sport特別編集『ル・マン24時間完全ガイド2018』に掲載。意外と評価の高いチームや、知られざる個性をもつチームなど、ル・マンを見る前にチェックしておきたいプライベーター情報も満載です。