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関ジャニ∞の“音楽的成長”刻まれたベスト盤『GR8EST』 前作『8EST』からの変化を読む

2018年05月31日 10:41  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2012年10月に発売された『8EST』から約5年半。通算2作目となる関ジャニ∞のベストアルバム『GR8EST』(読み:ぐれいてすと)がリリースされた。怒髪天の増子直純、上原子友康が手がけた「あおっぱな」(2012年9月)から丸山隆平主演の映画『泥棒役者』主題歌「応答セヨ」(2017年11月)までの21曲のシングル楽曲を収録。さらに東京スカパラダイスオーケストラがリアレンジし、関ジャニ∞とコラボレーションした「無責任ヒーロー jam with 東京スカパラダイスオーケストラ」、葉加瀬太郎がバイオリン演奏、ストリングスアレンジで参加した「大阪ロマネスク feat.葉加瀬太郎」という2曲の新録バージョンを収めた本作には、この5年半における、メンバー7人の音楽的な成長がリアルに刻み込まれている。


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 まず印象的なのは、さまざまなアーティストとのコラボレーション。SEKAI NO OWARIのSaori(作詞)、Nakajin(作曲)が手がけたロマンティックなバラードナンバー「涙の答え」、宮藤官九郎(作詞)、峯田和伸(作曲)によるパンキッシュな青春ソング「言ったじゃないか」、レキシこと池田貴史による、男の切なさ、情けなさ、心意気がじんわりと伝わるロックバラード「侍唄(さむらいソング)」、そして、さだまさしのペンによるフォーキーなメッセージソング「奇跡の人」。日本の音楽シーンを代表するトップアーティスト(しかもジャンルは見事にバラバラ)たちによる楽曲のテイスト、世界観、メッセージをしっかり汲み取りながら、関ジャニ∞の音楽世界とダイレクトに結びつける。この経験を重ねることで彼らは、その音楽性を大きく広げてきた。本作『GR8EST』には、貪欲でがむしゃら、そして真摯に音楽に取り組んできたメンバーの姿がリアルに反映されているのだ。音楽番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系/2015年5月~)における、音楽シーンを支えるミュージシャン、クリエイターとの交流も、彼らの音楽的な興味を広げた大きな要因だろう。


 また、ロックバンドとしての関ジャニ∞と直結している楽曲が増えているのも、この5年半における変化のひとつだ。濃密なグルーヴを感じさせるベースから始まり、ライブ感に溢れたバンドサウンドが炸裂する「NOROSHI」、ジャジーなピアノ、トランペットによるイントロから豪快なスカビートへと変化する「なぐりガキBEAT」などの楽曲は、彼らのライブでもしっかりと威力を発揮している。野外フェス『METROCK 2017』への参加などを通し、バンドの力量を確実に高めてきた関ジャニ∞。ここ数年の“バンド映え”する楽曲は、プレイヤー/ミュージシャンとしての彼らの成長と密接に関わっていると思う。


 その中心を担っているのはやはり、渋谷すばるだろう。ブルース、ソウル、ロックンロールなどをルーツに持つ彼のボーカルスタイルが、関ジャニ∞のいなたさ、生々しい手触りにつながっていたことは、このベストにおいても明確に示されている。特に心に残るのは、「オモイダマ」における歌唱。もともとは2014ABC夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』のテーマソングとして制作された楽曲だが、最後のサビの冒頭の<オモイダマ 今 空へ駆け上がった/それはあの太陽よりまぶしかった>というソロパートには、濃密な感情の込め方、独特のビブラート唱法を含め、渋谷のスタイルがもっとも強く表れていると思う。


 ここ数年はEDM、ヒップホップなどを軸にしたダンスボーカルグループが数多く登場しているが、関ジャニ∞は世間の流れやトレンドとは関係なく、生楽器の響きを活かしたバンドサウンド、愚直なまでに一生懸命に生きる姿を描いた歌を軸にしながら、自らの音楽性を追い求め続けている。本作『GR8EST』を携えた全国ドームツアーは7月15日の札幌ドーム公演からスタート。“6人の関ジャニ∞”として新たな一歩となるステージを温かく見守りたい。(森朋之)