政府が5月29日に閣議決定した2017年度版の食育白書で、1日の全ての食事を1人で食べている「孤食」の回数が1週間の半分以上に上る人は約15%いることがわかった。2011年の前回調査から約5%増加している。内訳は、「ほとんど毎日」が11.0%で、「週に4~5日ある」が4.3%だった。
「孤食」についてどう思っているか複数回答で尋ねると、「1人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」が35.5%で最も多かった。次いで「1人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」が31.1%だった。一方、「1人で食べることが都合がいいため、気にならない」(27.3%)という人も少なくなかった。
「家族が食事を共にするためには、ワーク・ライフ・バランスの推進が重要」
仕方なく「孤食」になってしまうことの背景には、世帯構造の変化がある。1971年には40.9%を占めていた夫婦と子供世帯が29.5%(2016年)まで減少し、三世代世帯も17.0%(1971年)から5.9%(2016年)まで減少している。一方、単独世帯と夫婦のみ世帯、ひとり親世帯が増加した。
近年、誰かと一緒に食事をする人の方が、食生活が良好で心も健康であるという研究報告がなされている。共食の頻度が高い人の方が「気が散る・根気がないなどの精神的な自覚症状が少ない」、「ファストフードの利用が少ない」、「野菜や果物など健康的な食品の摂取頻度が高い」傾向にあるという。
他にも、ほとんど毎日共食していると「自殺念慮」を訴える人の割合が低くなる、家庭での共食が減ると精神的健康感の得点が低くなるといったことが指摘されている。心身の健康のためには、誰かと一緒に食事をする方が良いといえそうだ。
幸い、朝食または夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数は微増傾向にあり、1週間あたり10.5回だった。家族が一緒に食事をするのが難しい理由を聞くと、いずれの年代でも「自分または家族の仕事が忙しいから」が約8~9割を占めていた。
報告書では、「家族が食卓を囲み、食事を共にするためには、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進が重要である」と指摘している。