大阪王将は5月28日、チャーハン専用のマシンなどを導入し"職人レス"を実現した店舗を増やしていくと発表した。すでに、都内5店舗と大阪1店舗の直営店で機械化を進めているが、2018年10月からはフランチャイズ店の出店も始める。
背景には、深刻な人手不足がある。昨年から、カット野菜や仕込み済みの食材を使い、「包丁レス」「仕込みレス」を実現してきた。さらにチャーハン専用マシンや炒め物用のオーブンを導入することで、キッチンに必要なスタッフの数を1店舗3人程度から1~2人にまで減らすという。
「中華鍋を振る必要がなくなれば、女性や高齢者も働きやすくなる」
現在、都心部では数多くの外国人スタッフが働いている。しかし地方には「そもそも外国人の方がいらっしゃいません」と同社の担当者は話す。
「地方では長年勤めていたスタッフが辞めてしまうと、新しいスタッフを確保できず、店舗の存続そのものが危ぶまれることもあります。安定して経営を続けてもらうためには、省力化が必要です」
カット野菜や仕込み済み食材を使うと原価は上昇する。しかし厨房人件費の46.3%を占める調理と20.9%の仕込み部分を省力化すれば、それ以上の人件費を削減できる見込みだ。実際、2017年9月から機械化を進める直営店6店舗では6~8%の削減につながっている。
"職人レス"によって実現するのは、必要なスタッフ数の減少だけではない。
「中華鍋での調理には、それなりの訓練が必要です。機械化が進めば、ベテランのスタッフでなくても調理が可能になります。そもそも中華鍋を振るには腕力が必要で、現在はほぼ男性スタッフがやっています。しかし今後は女性の方や高齢者の方でも働きやすくなるでしょう」
チャーハンと言えば、職人が大きな中華鍋を振って調理する姿が思い浮かぶ。機械化することで味が変化してしまう心配はないのだろうか。前出の担当者は、「味にブレが出ないようにレシピを見直している」と話していた。