トヨタでの“デビューレース”に勝利し、いよいよル・マン24時間レースを迎えようとしているフェルナンド・アロンソ。メディアやファンからの注目度も極めて高い状態で大一番に乗り込むことになるが、そのアロンソにここまでの準備の状況や、ル・マンに向けた展望を聞いた。
──F1で頂点を極めたアロンソ選手が考える、耐久レースの難しさとはいったい何でしょうか?
フェルナンド・アロンソ(以下、FA)「レース中、F1ではある程度同じようなラップを刻み続けることができるけど、耐久レースはそうはいかない。トラフィックの影響もあるので1周、1周が大きく異なる。GTカーに遭遇することもあれば、単独走行の時もある。夜間走行だったり、気温が30度まで上がったりと、毎ラップが違う。それに適応しなければならないのが難しい部分だね」
「でも、きちんと準備をすれば、異なるカテゴリーにも対応できることが、17年のインディ500出場で証明できたと思う。レースをリードするなど競争力はあったし、最初からなかなかうまくいった。挑みがいのあるチャレンジだった」
「24時間レースに関しては、24時間ゴーカートレースや、デイトナ24時間で経験を積み、トラフィックマネージメント、ドライビング、スピードについて多くを学んだ。だから、昨年のインディ以上に入念な準備ができていると思うよ」
──ル・マンの予選では、アタックを担当したいですか?
FA:「フッフッフ(笑)。僕としては予選アタックよりも、ラストラップで勝ちたいね。もちろん、去年予選でコースレコードが出たのはとても印象的だった。でも、今年は予選をターゲットにはしていない」
「冬の間は、一発の速さよりも対応力の広さや、信頼性を重視して開発を続けた。何よりも優先したのは問題が起きないクルマに鍛えることで、純粋なパフォーマンスはセカンドプライオリティだった。ギヤボックス、ブレーキ、ボディワークなど多少クルマが重くなったとしても信頼性の向上を最優先したんだ。だから去年より速くないかもしれないが、強いクルマにはなったと思う。24時間を戦い抜き、勝てるクルマに仕上がっているはずだよ」
──ところで、あなたの友人であるジェンソン・バトン選手も、WECとル・マンへの参戦をアナウンスしましたね。
FA:「とてもうれしいことだよね。彼はこのスポーツにおけるビッグネームだし、素晴らしい才能を持っているから。ル・マンで彼と同じスティントを走ることができたら、きっと楽しいだろう」
──バトン選手が現在参戦しているスーパーGTに興味はありますか? また、いつか出たいと思いますか?
FA:「どうだろうね(笑)。いまはカレンダーが詰まりすぎているから無理だけど、ジェンソンと話をして、彼がレースやドライブを楽しんでいるかどうか聞いてみるよ。まあ、どうなるか様子を見ることにしようじゃないか」
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このほか、開幕戦スパの裏側やアロンソなりの中嶋一貴評など、アロンソがル・マン挑戦のすべてを語り尽くしたロングインタビューは、6月1日(金)発売のauto sport特別編集『ル・マン24時間完全ガイド2018』に掲載しています。