2018年05月30日 10:12 弁護士ドットコム
毎年憂鬱になる「自動車税」の納付書。所定の額を5月末までに納付するよう記載されている。税理士ドットコムの税務相談コーナーには、いくつもの自動車税に関する相談が寄せられている。ある相談者のところには、3月20日に軽自動車を買取業者に売却したのに市役所の税務課から納付書が届いたという。
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売却済みで支払い義務はないはずだと伝えると、市役所側は「買取業者が廃車手続きをしたという市への報告が4月に入ってからで、市ではわからない」と答えたようだ。相談者は3月20日に売却したことを証明する書類は持っているという。
ちなみに相談者が売却した軽自動車に対しては、軽自動車税として1万800円がかかる(自家用)。軽自動車ではない自家用車に対しては、排気量に応じて2万9500円(1リットル以下)ー11万1000円(6リットル超)と金額が変わる。
上記のようなケースでは、相談者はどのような対応をすべきか。山本邦人税理士に聞いた。
ーー改めて自動車税について教えてください
「自動車税は4月1日の時点におけるその車の所有者に対して課税されます。通常4月下旬から5月上旬にかけて、5月31日を納付期限とした納付書が送付され、その年の4月1日から翌年の3月31日までの1年分を前払いします。
自動車を手放す際の自動車税の取り扱いについては、廃車する場合と買取店等に売却する場合とで異なります」
ーー廃車する場合について教えてください
「廃車手続きをした場合、翌月以降分から自動車税を負担する必要はなくなります。そのため3月20日に廃車手続を済ませた場合には、4月からは納税義務者ではなくなるため、そもそも納付書も送付されて来ません。また3月よりも前に廃車手続をした場合には、残りの月数に応じて自動車税が還付されます」
ーー買取店等に売却する場合はいかがでしょうか
「買取店等に売却した場合には、廃車の場合のように、残りの月数に応じた還付はされません。売却する月までは元の所有者が負担をし、売却後は新しい所有者が負担をするのが原則的な考え方になるでしょう。
たとえ3月20日時点で買取店等に売却をしたとしても、4月1日時点で所有者の変更手続が済んでいない場合は、今回のご相談のように元の所有者に対して納付者が送られてきます。買取店等に売却をする場合は、自動車税の残り期間分も考慮して、買取金額が決められることが多くあります。
ですので今回のご相談のようなケースも、まず買取店との間で取り交わした契約書を確認し、自動車税の取り扱いについて確認をするのがいいでしょう。不明点があれば買取店に問い合わせるべきです。その上で、ご相談者か買取店のどちらが自動車税を納付するのか確認し、都道府県に連絡するのがいいでしょう」
【取材協力税理士】
山本邦人(やまもと・くにと)税理士
監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、2005年に独立。中小企業の財務顧問として業務を行う。税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。
事務所名:山本公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://accg.jp
(弁護士ドットコムニュース)