レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナーは、F1モナコGP決勝で深刻なエンジントラブルを抱えながらも、スタートからリードを保ったまま優勝を飾ったダニエル・リカルドに惜しみない賛辞を贈った。
78周のレース中20周も走り終えていない時点で、リカルドは突然パワーを失ったとチームに報告した。チームはただちに、これがMGU-Kのトラブルによるものだと特定している。
トップを行くリカルドはわずかの周回数でリタイアせざるを得ないだろうと、エンジニアたちが予測したほどに差し迫った状況だったが、彼は沈着冷静だった。パワーが弱まったRB14のステアリングを握りながら数多くの仕事をこなし、その後の局面を自身の力で乗り切ったのだ。
ホーナーはイギリスの放送局Sky F1の取材に対して、リカルドの働きに大いに感銘を受けた様子で「彼はまるで日曜日の午後にドライブでもしているかのように、この危機を乗り切った」と語った。
「エンジニアたちは無線で『あと1、2周でマシンをリタイアさせなければならない』と告げてきたが、私は皆に『我々は今モナコGPでトップを走り、それを維持できている。適切な作業ができており、走れている。燃料もブレーキもタイヤもセーブできている』と伝えた。リカルドは今回、信じられないような走りを見せてくれたよ!」
ホーナーはリカルドが今回成し遂げた偉業について、以下のように説明した。
「彼はエンジンのパワーの約25パーセントを失った。そしてその後、PUの動作のせいでリヤブレーキの温度が著しく上昇した」
「彼はブレーキとマシンを冷やすためにアクセルから足を離さざるを得ず、しかもセバスチャン・ベッテルが背後にぴったり付いていた。そのためひとつのミスも犯すことができない状況で、すべての事態に対処し、危機を完全にねじ伏せたのだ」
「マシンの中の彼は落ち着いているのだということが伝わってきた。何かが上手くいっていないときでも彼は慌てず、大声をあげることもなく、『自分には何ができるだろうか、この状態でどうすれば良いだろうか』と自問し見事にやり遂げた」
「今回の優勝では心から彼の健闘を称えたい。特に、彼は悲惨な結果に終わった2016年のモナコGPを経験しているからね。今日のグランプリを勝ち取った彼を、私は本当に誇りに思う」
レッドブルにとって250戦目という節目のレースで勝利したリカルドは、将来もこのチームに残りたいと思えただろうかと質問されたホーナーは、チームとしては2019年も彼との契約を継続したいという以前からの望みを繰り返した。
「彼の価値が上昇したか、そして彼のチームに対する気持ちは強まったか、何とも言えないが、おそらく両方ともあり得るだろう」
「私は常に、ダニエルをキープしたいと明確に示し続けてきた。彼の今季の優勝回数はルイスやセバスチャンと同じになったし、先日のバーレーンやバクーでも、もっと上を狙えたはずだ」
「先はまだ長いし、我々には素晴らしいマシンがある!」