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『犬ヶ島』犬の毛並みがふわふわに見えるのはなぜ? パペット責任者が解説「○○を再利用した」

2018年05月29日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 5月25日から公開されているウェス・アンダーソン監督の映画『犬ヶ島』から、新・犬キャラクターが登場する本編映像が公開され、パペットの撮影裏エピソードもあわせて明かされた。


 『グランド・ブダペスト・ホテル』『ファンタスティック Mr.FOX』のウェス・アンダーソンが監督を務めた本作は、全編日本を舞台にしたストップモーション・アニメーション。


 今回公開された本編映像は、主人公アタリと5匹の犬が、アタリの護衛犬スポッツ探しの旅の途中で出会った、老犬のジュピターと小型犬のオラクルのシーンが映し出されている。


 映像には、ジュピターの首に下げられた小さな樽にテレピン油のブランデーが入っており、「頭を冷やし、犬の骨を温める」と言いながら犬が犬に飲酒を勧める一幕のほかに、テレビの言葉を理解できるオラクルが「今夜は雪が降る」と耳を利かせて予言者らしく振舞っている姿が。しかし、キングに「違うよ!(彼女は)テレビが分かる」とネタ明かしされ、オラクルはギクッとするというアンダーソン作品らしいキャラクター性が炸裂している。


 ブランデーを飲むシーンから犬たちの毛並みがふわふわと繊細に揺れ動いていることがわかるが、ストップモーション・アニメーション作品ではツルンとしたテクスチャーのパペットを使うことが通例。しかし今回は、犬たちの感情表現を豊かにするためにあえてふわふわの毛並みを採用しているという。


 パペットの制作責任者を務めたアンディ・ジェントは「犬の毛皮には、テディベアのアルパカとメリノ・ウールの毛を刈り取り再利用した。この素材はストップモーションでは非常に扱い辛い。なぜなら、ほんの僅かになびいても、輪郭がボケてしまう。ところがそれが本作では、ノミに喰われた感じや、みすぼらしさ、石鹸や櫛などを長い間使っていない犬の汚れた毛を強調することが出来た」と解説。


 一方、人間のパペットにも皮膚の下で勢いよく流れる血の感覚を表現するために半透明の樹脂が使われたようで、ペイント担当のアンジェラ・キーリィは「ウェスはこれまでにない輝く表情を求めたの。特にアタリの皮膚はシースルーのような外観で、ひときわ輝いているわ」と明かしている。(リアルサウンド編集部)