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三浦大知、フォーリミ、ミセス、CHAI、あいみょん……“大躍進”遂げた5組をピックアップ

2018年05月29日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2016年5月にスタートした当連載「本日、フラゲ日!」、記念すべき100回目を迎えました。そこで今回特別編として、この2年間に取り上げたアーティストのなかから、大躍進を遂げた5組を改めてピックアップ。ブレイクに至った理由、音楽的な魅力を紹介します。


(関連:三浦大知はついにビッグセールスを手に入れたーー安室奈美恵のチャートアクションとともに分析


■三浦大知


 昨年末に『第68回NHK紅白歌合戦』に出場、初のベストアルバム『BEST』がキャリア初となるオリコン週間アルバムランキングで1位を記録。三浦大知はこの2年間でもっとも大きなブレイクを果たしたアーティストと言えるだろう。ちょうどこの連載が始まった2016年5月に初めて『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演、その圧倒的なステージングに注目が集まったのも一つのきっかけだが、それは10年前から「パフォーマンスをちょっとでも見れば、大知のすごさは誰でもわかるはず!」と思っていた筆者にとっても「だから言ったじゃん! 大知はすごいんだって!」と言いたくなるような痛快な出来事だった。独創性とインパクトを併せ持ったダンス、R&B、ロック、EDMなどを自在に乗りこなすボーカル。実力のあるアーティストがそれに見合った評価を得ることは本当に気分がいい。6月27日にリリースされるニューアルバム『球体』も楽しみだ。


■04 Limited Sazabys


 連載第1回目(2016年5月31日)の最初に取り上げた作品が04 Limited Sazabysのメジャー2ndシングル『AIM』だった。“正確無比な高速2ビートと超キャッチーなメロディ”という最大の特徴をストレートに反映させた「climb」を収録した本作をきっかけに、フォーリミの知名度はさらに拡大。この年に始まったバンド主催フェス『YON FES』を3年連続で成功させ、10周年を記念した東名阪のアリーナツアーを開催するなど、その後の活躍ぶりはご存知の通り。ルーツであるオーセンティックなメロコアを核にしたまま、一つのジャンルに収まらず、幅広いオーディエンスを巻き込んでいく彼らの躍進は、ロックバンドの理想形と言っても過言ではない。自らのビジョンを具現化し続けるGEN(Ba/Vo)の意志とセンスはやはり別格だ。


■Mrs. GREEN APPLE


 ロックバンドという枠にこだわらず、ダンスミュージック、ジャズ、ソウルなどを貪欲に取り入れ、エンターテインメント性に溢れた音楽を体現し続けるMrs. GREEN APPLE。メインソングライター・大森元貴(Vo/Gt)の才能が露わになったのはおそらく、当連載のvol.32(2017年1月10日)で取り上げた2ndアルバム『Mrs. GREEN APPLE』だった。さらにまるでミュージカルのような華やかさを備えたシングル『WanteD! WanteD!』、架空のアミューズメントパークをテーマにしたアルバム『ENSEMBLE』でセールス、音楽的評価の両面で大きな飛躍を遂げた。Official髭男dismと並び、優れたポップネスによってバンドシーンを刷新する可能性を持ったバンドだと思う。


■CHAI


 “NEOかわいい”“コンプレックスはアート”といったメッセージを掲げ、性別や年齢による区別、“○○だったらこうすべき”という凝り固まった常識を気持ち良く打ち破り、賛否両論を巻き起こしながら予想を遙かに超えるスピードで世間に浸透したCHAI。彼女たちの存在は音楽シーンに新しい価値観を与えると同時にリスナーのなかに“自分の感覚を信じよう”という強さを生み出し続けている。ジェンダーの問題、さまざまなハラスメントが起きている現代の日本において、自己肯定感に溢れたCHAIの音楽はきわめて重要だと思う。ニューウェーブ、オルタナR&B、エレクトロなどを自由に融合させながら、オリジナリティあふれる楽曲につなげる技術の高さも彼女たちの大きな武器だ。


■あいみょん
 あいみょんもまた、新たな価値観を込めた楽曲によって支持を拡大しているアーティストだろう。彼女の存在を広く世に知らしめたのが「君はロックを聴かない」。“君はロックなんて聴かない”というひとつのワードで楽曲のなかに登場する“僕”と“君”の距離感をリアルに描き出すソングライティングセンスは、現在のシーンのなかでも明らかに際立っている。また「愛を伝えたいだとか」に象徴される“天然のソウル感”と呼ぶべきボーカルも彼女の特徴。思わず身体を揺らしたくなるようなグルーヴ、そして、誰もが自分自身の経験に当てはめたくなる歌詞を併せ持った彼女は、10年代後半におけるもっとも重要なシンガーソングライターのひとりだと思う。(森朋之)