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EXILE THE SECONDが歩んだ“ROUTE”の先にあったものーーEXILE再始動の夜に寄せて

2018年05月28日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 EXILE THE SECONDが5月24日、千葉・幕張メッセで全国ツアー『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2017-2018 “ROUTE 6・6”』のファイナル公演を行った。アンコールでは再始動したEXILEが登場。2年半ぶりのステージ復帰に約2万4000人の観客は熱狂の渦に巻き込まれ、会場は大歓声に包まれた。


参考:EXILE SHOKICHIが語る、“hideオマージュ”の真意 「hideさんとの出会いが自分の音楽を作った」


 開演時間の18時30分にDJ SOULJAHが登場。「This is America」(チャイルディッシュ・ガンビーノ)、「That’s What I Like」(ブルーノ・マーズ)などで会場を盛り上げた後、ついにEXILE THE SECONDのライブがスタート。中央に設置された円型ステージにメンバー6人が登場、ツアータイトルになっている「Route 66」を放つ。ド派手なオープンカーを中心に据えたセットのなかでSHOKICHI、NESMITH、橘ケンチ、黒木啓司、TETSUYA、AKIRAが激しいパフォーマンスを繰り広げ、オーディエンスのテンションは一気にピークへ。さらに花道を自由に行き来しながらアッパーチューンを連発し、ターンテーブルのように高速回転するステージで「WILD WILD WILD」へ。フィジカルの強さ、スピード感を活かしたステージングは圧巻だ。


 和のテイストを活かした橘ケンチのダンス(コーヒーを片手にタップを踏むTETSUYAも参加)の後は、メンバーのルーツ音楽、EXILE THE SECONDとEXILEのつながりを色濃く反映したコーナー。まずはネオソウルのテイストを感じさせる「SUPER FLY」。コーラスボーカルグループ・DEEPによるソウルフルなハーモニー、黒人のリズムセクションによる濃密なグルーヴ、ブラックネスとポップネスを共存させたメロディがひとつになったこの曲は、ブラックミュージックを現代的なポップスへと昇華してきたEXILE THE SECONDの真骨頂とも言えるナンバーだ。さらに「“EXILEクラシック”で盛り上がっていきましょう」と「EXILE HIPHOP」「WON’T BE LONG」「Choo Choo TRAIN」を披露。基本的なアレンジは変わっていないのだが、ダンスホール、ニュージャックスウィングなどを取り入れたこれらの楽曲は、いま聴くと逆に新鮮だ。


 ライブ中盤ではメンバー6人それぞれの個性を活かしたステージが展開された。SHOKICHIがピアノの弾き語りで歌った「Shelly」では、AKIRAがシアトリカルな要素を取り入れたパフォーマンスを披露(女性ダンサーとのセクシーな絡みには悲鳴のような歓声があがる)。テキーラグラスを持って登場したTETSUYAはEXILE USA、Dream ShizukaとともにDANCE EARTH PARTYとしてハワイアンテイストの「Anuenue」で会場をトロピカルな雰囲気で包み込む。さらにSHOKICHIがDEEPをフィーチャーし「The One」、NESMITHがDEEPとともに本ツアーでバックコーラスを務めたLeolaを伴い「Make It Last Forever」を歌い上げる。


 個人的にもっとも強いインパクトを感じたのは、黒木啓司が主宰するプロジェクト“THE NINE WORLDS”のセクションだった。JESSE(RIZE、The BONEZ)、CHOZEN LEE(FIRE BALL)、山嵐のメンバーが登場。黒木啓司、橘ケンチ、TETSUYA、AKIRAがダンスバトルを繰り広げる場面は、この日のライブの大きなハイライトだったと思う。今回のツアータイトル“6・6”には“メンバーそれぞれの道、それぞれのスタイルを見せる”というテーマが込められていた。まずは個々の志向、将来的なビジョンを掲げることで、グループとしての強度を向上させていくーーそう“個を強くすることがチームを強くすることにつながる”というこの考え方こそが、EXILE THE SECONDの軸なのだ。


 シングル曲「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」「Summer Lover」からライブは後半へ。リラックスした大人の余裕を感じさせるステージングもめちゃくちゃ楽しい。「ツアーは今日で最後ですが、EXILE THE SECONDとしてEXILEとしても盛り上げていきたい。これからも僕たちのエンタテインメント見せたいと思っています」(NESMITH)、「6人の道を表現できたらいいなと思い、このツアータイトルを決めました。それがしっかり見せられたんじゃないかと思います。これからも最高の思い出を作っていきましょう!」(SHOKICHI)というMCを挟み、ラストは「Last Goodbye」。このツアーのために制作されたエモーショナルなバラードナンバーによって本編は終了した。


 アンコールはSHOKICHIのドラム、NESMITHのエレキギターによるパフォーマンス、ヘビィロック的なアプローチの「HEAD BANGIN’」からスタートした。ここでスクリーンに映されたのは“EXILE”の文字。ニューアルバム『STAR OF WISH』(7月25日リリース)、秋から始まる3年ぶりの全国ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2018-2019 “STAR OF WISH”』が発表されると、会場はすさまじい歓声で包まれた。さらにEXILEのフルメンバーがサプライズで登場!


 ATSUSHIが海外留学を発表したこともあり、ソロ、他のグループ活動に軸足を移していたEXILEは今年1月に活動再開を発表。メンバー全員でのステージは2015年12月27日の福岡・福岡ヤフオク!ドームで行われたツアー以来となる。最初に披露されたのは代表曲「Rising Sun」。ATSUSHI、TAKAHIROのボーカルが響き、パフォーマーが激しく踊りまくる。当然、会場の熱狂は最高潮。涙を流している観客も多く、「ついにEXILEが戻ってきた!」という実感が沸き上がってくる。


「EXILE、2年半ぶりにライブのステージに帰ってまいりました!」(ATSUSHI)、「最高ですね! みなさん、盛り上がってますか!?」(TAKAHIRO)という挨拶の後、ATSUSHIはゆっくりと語り始める。


「SECOND、ツアー最終日おめでとうございます。今日はサプライズということで、EXILEは2018年に復活すると約束していましたので、こうして登場させていただきました。ファンのみなさまにはお待たせしてしまいましたが、この2年半という時間はこれからのグループにとっても、僕たち一人一人にとっても、何よりEXILEにとって必要な時間だったと思っています」


「この期間、三代目、GENERATIONS、FANTASTICS、THE RAMPAGEなど、EXILE TRIBEのみんながEXILEへの思いをつないでいたと実感しています。そして何より、いちばんEXILEへの思いをつないでくれたのは、全員がEXILEメンバーであるSECONDだったと思います。どうかみなさん、SECONDのメンバーに拍手を送ってあげてください」


 ATSUSHIが涙ながらに語ると、大きな拍手と歓声が沸き上がった。


 さらに「短い時間ですが新しいEXILE、NEW EXILEを受け入れる心の準備はできてますか!?」(ATSUSHI)と呼びかけ、新曲「PARTY ALL NIGHT ~STAR OF WISH~」「Heads or Tails」も披露。最新型のEXILEをダイレクトに体感できる、まさに圧倒的なステージだった。


 EXILEメンバーがステージを去った後のSECONDメンバーのコメントも心に残った。


「“Root=人生”。6人のメンバー、EXILEメンバー、24000人のみなさんのルートが重なった奇跡の1日だったと思います。今日のことを糧にこれからも進んでいきたいと思います!」(橘ケンチ)


「EXILEが活動休止するとき、ATSUSHIくんが“オールスターになって戻ってきましょう”という言葉をくれて。それぞれがそれぞれの場所で全国のファンを魅了してくれたおかげで、こうやってEXILEとして帰って来ることができました」(黒木啓司)


「いままで“for EXILE”を掲げてきましたが、これからは“from EXLE”としていろんなことを発信して、ファンのみなさんを笑顔にしたいなと心から思っています」(TETSUYA)


「EIXLE、復活しました! みなさんにもっともっと楽しんでもらえるように力を合わせたいと思います。『STARS OF WISH』ツアーで会いましょう!」(AKIRA)


 その言葉からは、SECONDとしてのプライド、そして、EXILEに対する強い思いがはっきりと伝わってきた。33公演36万人を動員したツアーのなかで、6人の個性とセンスを活かしたステージを体現したEXILE THE SECOND。彼らが切り開いた道は、EXILEの更なる進化へとつながっていた。ここから始まるEXILEの新しいストーリーにも大いに期待したい。(森朋之)