インディカー・シリーズ第6戦にスケジュールされた第102回インディ500の決勝レースが27日に行われ、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が11度目の挑戦でインディ500を初制覇した。2連覇を目指した佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、序盤にクラッシュを喫しリタイアとなった。
好天に恵まれた決勝レース当日は、ここ数年でもいちばんの暖かさとなった。今シーズンから導入されたユニバーサルエアロを装着したマシンでは、気温が高い時のオーバーテイクが難しく、我慢のレースになると予想された。
伝統のセレモニーが行われ、いよいよ現地時間12時14分にエンジンスタートのコールが行われ、第102回決勝レースの火ぶたが落とされる。
序盤は各車慎重にドライブし大きなポジション変更は行われず、ポールのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がトップをキープしていく。
パック走行にならず一列になってのレース展開が続く今年のインディ500。31周目終わりでトップのカーペンターがピットイン。各車1回目のピットインへと向かい、ここでトニー・カナーン(AJフォイト・レーシング)が2番手にポジションアップする。
徐々にバックマーカーが増えだした48周目。スピードの伸びないジェームズ・デイビソン(AJフォイト・レーシング)に佐藤琢磨が衝突。両者ともにマシンにダメージを負いコース上にストップ。ディフェンディングチャンピオンの琢磨が第102回インディ500最初のリタイアドライバーとなってしまった。
「急にエアポケットに入ってしまってよけられなかった」と琢磨。
レースは56周目に再開。ステイアウトしたザッカリー・クレイマン・デメロ(デイル・コイン・レーシング)を交わしカーペンターがトップ。カナーンもすぐに2番手に上がりカーペンターを追いかける。しかし、58周目ターン2でエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)が単独クラッシュ。再びイエローコーションに。
63周目、リスタートでカナーンがカーペンターを抜いてトップに浮上。翌周、カーペンターがカナーンを抜き返し再びトップを奪い返す。
このままレースが白熱してくるかと思われたが68周目、今度は引退レースに挑むダニカ・パトリック(エド・カーペンター・レーシング)が単独クラッシュ。ラストレースを完走で飾ることはできなかった。
74周目リスタートでカナーンが再びトップ奪取。ウィル・パワーもチームメイトのシモン・パジェノーを交わしカーペンターに襲い掛かる。
順調にトップをキープするカナーンは、90周目にルーティンのピットストップへ。各車ピット作業に向かう中、再びカナーンがピットレーンに。タイヤに問題があったのか、交換し大きく順位を落としてしまう。
139周目、セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)が単独クラッシュし、4度目のイエローコーションとなる。
残り55周、パワーを先頭にリスタート。カーペンター、パジェノー、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)と続く。
リスタート周のターン4でカストロネベスがスピンを喫し単独クラッシュ。4度目のインディ500制覇を飾ることはできなかったが、大きな歓声がカストロネベスが送られる。
注目のドライバーが次々とリタイアしていく第102回インディ500はいよいよ終盤へと投入する。
154周目にレースは再開。ここで32番グリッドから徐々にポジションをアップしてきたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が3番手にジャンプアップを果たす。しかし、再びターン4でセージ・カラム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)が単独クラッシュを喫し6度目のコーションに。
パワー、カーペンター、ロッシ、パジェノー、ハンター-レイの順で162周目リスタートを迎える。
リーダーのパワーが171周目終わりにラストのピット作業へ。上位陣ではパジェノーが175周目終わりでピットイン。ストラテジーの違うドライバーたちが前を走る中、189周目にカナーンが単独スピンを喫し7度目のコーションに。
トップはオリオール・セルビア(スクーデリア・コルサRLLR)。ステファン・ウィルソン(アンドレッティ・オートスポート)、ジャック・ハーベイ(マイケル・シャンク・レーシング)と続き、ピットインを終えパワー、カーペンター、ロッシ、ハンター-レイ、パジェノーの順で194周目にリスタートを迎える。
残り6周の超スプリントバトル。3ワイドでターン1に入り、ウィルソンがトップ。ハーベイ、セルビアと続く。前を狙えなかったパワーは翌周にセルビアを交わし3番手に。しかし、ハーベイをなかなか交わせない。
このままウィルソンがトップを走行すると思われたが、ウィルソン、ハーベイは196周目終わりで燃料が足りずピットイン。難なくトップに躍り出たパワーは、そのままホワイトフラッグを受けるとファイナルラップも危なげなく走行し、11度目の挑戦でインディ500初制覇を成し遂げた。