5月27日現地時間午後3時10分、モナコGPのスタートを迎えた。朝は晴れ渡っていたモナコの空だが、昼過ぎから雲が増えて曇天の下、降水確率が20%の中でのスタートとなった。気温は25度、路面温度は33度というコンディション。
Q3進出ドライバーは全てハイパーソフト、11番手以下はウルトラソフトが中心でセルゲイ・シロトキンとブレンドン・ハートレーだけがハイパーソフトを履いてスタートに臨んだ。
フリー走行3回目のクラッシュで予選出場がならなかったマックス・フェルスタッペンは3基目のMGU-Kと新品のギヤボックスを投入し最後尾グリッドからの出場を許された。ロマン・グロージャンは前戦のクラッシュで3グリッド降格ペナルティを受け18番グリッドからのスタートとなった。
スタートでポールポジションのダニエル・リカルドはスムーズな発進加速を見せ、ターン1をトップで通過。後続も順位を守ったままアクシデントのないスタートとなった。
順位は首位リカルド、2番手セバスチャン・ベッテル、3番手ルイス・ハミルトン、4番手キミ・ライコネン、5番手バルテリ・ボッタスと続き、ハミルトンは「ペースが遅い」と上位勢がタイヤを労っていることを示唆するが、6周目にはグレイニングが出始める。
6番手のエステバン・オコンは7番手フェルナンド・アロンソ、8番手カルロス・サインツJr.をやや引き離していき、それ以下は9番手セルジオ・ペレス、10番手ピエール・ガスリー、11番手ニコ・ヒュルケンベルグと1~2秒ずつの差で続く。最後尾からスタートしたフェルスタッペンは次々と前走車を追い抜き中団までポジションを上げていく。
ハミルトンが12周目にピットインするとベッテルは16周目、首位リカルドとライコネン、ボッタスが17周目にピットインして各車の位置関係は変わらず。どのマシンもウルトラソフトに履き替えた。しかし、リカルドはウルトラソフトでペースが上がらず2番手ベッテルが背後に迫る。
中団勢は13周目のハートレーを皮切りに14周目にルクレールが動くがハートレーがアンダーカットに成功。16周目にはサインツがピットインし前に留まるがハートレーはその背後まで浮上することに成功した。
フォース・インディア勢とアロンソもピットインしてポジションはそのまま変わらないが、ガスリーだけはハイパーソフトのままステイアウトして自己ベストを更新しながらウルトラソフトやスーパーソフトに履き替えた後続との差を広げていく。
しかし、30周目を過ぎるとガスリーのペースが落ちていく。37周目についにガスリーはピットインするとサインツの前に戻り実質9番手となる。
ハミルトンは徐々にペースを上げてライコネンを引き離していき、逆にライコネンにはボッタスが襲いかかっていくがパワーユニットがややオーバーヒート傾向でなかなか攻め切れない。
40周目には首位リカルドとベッテルが1.4秒、3番手ハミルトンがそこから2秒、4番手ライコネンはそこから4秒という位置関係になり、6番手はウルトラソフトで走り続けるヒュルケンベルグがつけるが、実質6番手はその後方のオコン、そして3秒差でアロンソ、同じくステイアウトのフェルスタッペン、その1秒後方に新品スーパーソフトのガスリーが続く。
47周目にようやくフェルスタッペンがピットインしサインツの後方、ハートレーの前11番手でコースに復帰する。これで前が開けたガスリーが1分17秒台でプッシュしアロンソの背後につく。
逆にアロンソはギヤボックス不調に見舞われペースが落ちて21秒台にペースが落ちる。アロンソは53周目のメインストレートで失速しターン1でストップ、今季初のリタイアを余儀なくされた。
50周目にようやくピットインしたヒュルケンベルグは8番手サインツの後方に入り、フェルスタッペンを抑え込む。ルノーはチームオーダーで55周目にサインツにヒュルケンベルグを先行させた。フェルスタッペンは57周目のヌーベルシケインでインを突くが接触して抜けず、翌58周目はアウトから仕掛けてややオーバーシュートしながらサインツの前に出た。
6番手オコンと7番手ガスリーはほぼ同じタイムで3秒差、8番手ヒュルケンベルグはハイパーソフトで彼らよりも0.7秒速く、61周目にはヒュルケンベルグがガスリーの背後に追い付いてテールトゥノーズのバトルになる。
さらに新品ハイパーソフトの9番手フェルスタッペンはヒュルケンベルグより1.7秒も速い驚異的なペースで追い上げを見せ63周目にはこの2台の背後に追い付いた。10番手サインツはペースが落ち11番手ハートレーが追いかけるが、4秒差まで縮まったところからペースが鈍りなかなか縮められず、逆に後方からシャルル・ルクレールに追い立てられてしまう。
だが71周目のヌーベルシケインでルクレールはブレーキトラブルにより、止まりきれず前のハートレーに追突。ルクレールはここでリタイア、ハートレーもリヤウイングを壊しピットに戻ってリタイアとなった。
VSCによる事故処理を挟んで74周目にレース再開、ここからリカルドは後続を引き離してトップでチェッカーを受け、初のモナコGP制覇を果たした。2位ベッテルは7秒差、3位ハミルトンは17秒差という表彰台でライコネンとボッタスは僅かに届かず。ガスリーはブレーキに問題を抱えたオコンを0.6秒差まで追い詰めるが抜ききれず7位でフィニッシュ。8位ヒュルケンベルグ、9位フェルスタッペン、10位サインツというトップ10となった。