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和田正人は作品に温かみをもたらす 『Missデビル』沖津役で見せるオンとオフの演技

2018年05月27日 11:51  リアルサウンド

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 『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)において、これまで、物語のキーパーソンとなっているのが和田正人演じる沖津だ。能天気でお調子者の沖津は博史(佐藤勝利)が研修先で悩みを抱えると必ずと言っていいほど登場。博史を茶化しながらも親身なアドバイスを送っていた。作品自体はフィクション感が強い本作だが、沖津の軽いキャラクターは「こういう先輩いるよね~」と思わせるほどリアルな役柄に仕上がっている。5月26日に放送された第7話は和田の好演が光る回となった。


参考:竹内涼真と和田正人の快走に涙!『陸王』


 和田は学生時代、駅伝選手として箱根駅伝にも出場、卒業後は企業ランナーとして活躍するアスリートだった。しかし25歳のとき、陸上部が廃部となりそこから役者を目指し始めた。当時、年齢制限のあるオーディションに応募するため年齢を偽っていたという和田は、本作の制作発表会見で“仕事をはじめた頃の自分へのメッセージ”という質問に対して「経歴詐称はやめましょう」と答え、笑いを誘っていた。


 その経歴を活かして『陸王』(TBS系)では引退間近のランナーを熱演。また『オールスター感謝祭』(TBS系)の名物企画「赤坂5丁目ミニマラソン」では、佐野岳とともにモハメド・ファラー相手に善戦するなど、現在の仕事にも結びついている。そして役者としても『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)、『連続ドラマW 片想い』(WOWOWプライム)、『都庁爆破!』(TBS系)と話題作に多く出演している。どのドラマでも脇役としての立ち回りが巧みで、物語のアクセントとなっていた。


 そんな和田が本作で演じている沖津は、博史たち新入社員を気にかける人事部の先輩。その親しみやすさから他部所にも顔見知りが多くいるため、情報通として博史の悩みに対して毎回アドバイスをしていた。


 第7話で博史が研修に行ったCFDは設立2年目にして莫大な利益を稼ぎ出したエリート部署。沖津はそこで働く同期の里中(永岡佑)が倒れるところを偶然目撃してしまう。このことからCFDは社外に残業アジトを持っていることが判明し、椿眞子(菜々緒)ら人材活用ラボの面々が突入することとなる。


 目を見張るのは和田のオンとオフの演技だ。病室で里中の容体を心配し「ずいぶん痩せちまったなあ、こいつ」とため息交じりの声を漏らす。しかし里中の妻が病室に現れると「俺だよ~沖津! 沖津! 結婚式でスピーチしたじゃ~ん!」と一転、砕けた表情を見せてくれる。和田の一挙手一投足によって、画面が一気に暖かい空気感に包まれるのだ。


 この“なんだか憎めないキャラクター”は本作で重要な役割を果たしている。常に冷淡な口調で話す椿とそれに翻弄される博史。昔の事件に何かしらの秘密がある大沢社長(船越英一郎)、伊東部長(木村佳乃)、喜多村会長(西田敏行)。主要人物は回を重ねるに連れシリアスなシーンが増えていく中で、作品を和ませる役割を沖津が担っていると言ってもいい。そしてその大役を彼は見事に演じきっている。


(馬場翔大)