東京には、色んなものがある。お金を出せば、大抵のものは手に入る。レジャーも多い。移動手段も多い。仕事だって多い。田舎にはないもの、田舎にはない幸せが、東京にはひしめいている。
先日、ガールズちゃんねるを見ていると「田舎にあって東京にないもの」と題されたトピックを見つけた。トピ主は「東京近辺にも海、山、川がある。美味しい飲食店もあるし、市場もある。田舎にあって東京にないものってなんですか?」と問いかける。(文:松本ミゾレ)
「無人のドライブイン」「移動スーパーのワゴン車]
田舎にあって東京にないものなんていくらでも思いつく。近所との面倒な人間関係がない。獣による作物の食害がない。住んでいる土地の凋落を日に日に目で追う悲しみを味わうこともない。
トピックには他にも、書き込んだ人々による意見が色々と見受けられた。例によって今回も、いくつか紹介してみたい。
「わずらわしい祭やご近所付き合い」「凄い広いコンビニの駐車場」
「無人のドライブイン」「手動で閉める電車」
「移動スーパーのワゴン車]
と、こんな具合に、メリット、デメリット含めて複数ある(大体デメリットだけど)。近所付き合いは特にめんどくさい。回覧板をまわすのが少し遅れるだけで、親分風を吹かせている老人に文句を言われる光景は、田舎なら珍しくない。
僕の地元では、とにかくすることがなく、老人が妙に歪んでしまうケースもしばしば見かけたものである。
23区外でも郊外でも、田舎出身者から見れば東京は東京
僕のような田舎者にとっては、娯楽、インフラ、職などなど、ありとあらゆる要素が東京に一極集中しているのを見ると、複雑な気分になる。東京で生まれ育った人間とそうでない人間とでは、何につけても最初の障壁の高さが大きく異なる。
田舎では雑誌は数日遅れで入荷するし、服を買うにもいちいち人里まで出向かないとならない。仕事だってろくなものがないし、東京の賃金とのギャップには苦笑いするしかない。
まあでも、東京も23区以外は結構しょっぱい。それは分かる。東京の市部に住んでいる人にとっては「一括りにしちゃいかんよ」と言いたくなるだろう。しかしそれでも、田舎者にしてみれば、郊外であっても東京は東京。「飛行機、新幹線使わずに都心部にアクセスできるのに田舎者面するな」という気分になる。
田舎に生まれた人間は、生まれながらにして東京周辺に生まれた人々よりも二手三手後ろを歩いていると感じるようなこともあるものだ。賃金の高い都心部で働くにせよ、専門学校や大学に行くにせよ、都内、あるいは関東圏に家がある人間はやっぱり強い。