一向に収束する気配がない日本大学の悪質タックル問題。5月25日には大塚吉兵衛学長が会見を開くに至った。
そうした中、日大の学生たちからは就職活動への影響を懸念する声が出ている。キャリコネニュースが取材した男子学生も、「不安を感じている学生もいる」と話していた。
しかし「心配はない」と話すのは人材研究所の曽和利光さん。「一般の学生にまで悪影響が出るとは思えない。体育会系の学生はもしかしたら偏見を持たれるかもしれないが、対策は立てられる」と指摘する。
体育会だと「上が間違っていても自分で考えられない」と偏見持たれる?
過去にも大学で大きなスキャンダルが起きたことはある。例えば早稲田大学では2003年、公認サークルの"スーパーフリー"が女子大学生への集団強姦を繰り返していたことが発覚。この時も一般の学生に大きな影響はなかったと曽和さんは言う。
「スーパーフリーの関係者に入社されると困るため、採用を考えている学生の身辺調査を行っていた企業はありました。また、例えば『イベントサークル』に所属していた場合、それが"スーフリ"でないかどうか確認されるということはあったと思います。しかし早稲田の学生を敬遠するということは一切ありませんでした」
今回の日大の騒動でも、一般学生への影響があるとは考えられないという。ただし、アメフト部や体育会の場合は色眼鏡で見られてしまう可能性もある。
「日大の体育会にいたという学生の場合、上意下達の文化に染まり、上層部が言えば間違ったこともしてしまう、自分の頭で考えらないといった偏見を持たれてしまう可能性はあります」
「人事が最後までそうした先入観で判断するとは思えない」
ただしそれは「哲学を専攻していた学生は理屈っぽい」とか「数学を専攻している学生は変わっている」程度の偏見にすぎないという。重要なことはそうしたマイナスのイメージをどう覆すのかということだ。
「人事が最後までそうした先入観で判断するとは思えません。選考過程で、それを覆すようなアピールをしていけばいいのです。私は学生によく『自分の意外なところ』を周囲の人に聞いておくように言っています。面接官とは初対面ですから、先入観や第一印象が大きな力を持つことは否めない。ただそうしたイメージとは異なる部分をエピソードで示せばいいのです」
今回の騒動で多くの日大生が不安を感じているようだが、曽和さんは「安心していい。大丈夫です。普通の企業なら関係のない学生にまで問題を一般化することはない」と呼びかけていた。