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田中圭、『おっさんずラブ』で人気スターに “モテないサラリーマン”春田に惹かれてしまう5要素

2018年05月26日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今春ドラマの話題をほぼ独占してしまっている状態ともいえる『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。仕事に関しては頼もしく、部下思いで、尊敬すべき上司でありつつ、恋する姿はまるで少女のようにウブで可愛い黒澤を演じる吉田鋼太郎は、さすがの演技力だ。また、チワワ的ルックスながら、高学歴エリートで、細やかで気が利き、家事・料理も万能の牧を演じる林遣都も、実に巧い。しかし、この作品をイロモノやコントでなく、王道恋愛ドラマとして成立させる説得力を担っているのは、主人公・春田創一を演じる田中圭だろう。


黒澤部長と牧を虜にする春田【写真】


 なにしろ「モテないサラリーマン」春田が魅力的すぎるために、もともとゲイだった牧はともかく、もしかしたら黒澤部長に関しては本人が知らなかったトビラを春田に開かれてしまったかもしれないと思えるほどだ。それほどまでに、春田には「惚れてまうやろ~」要素が多分にある。


(1)甘く清潔感あるルックス


 まず大きな特徴がなく、アクがなく、ソフトで素朴でこざっぱりした顔。このルックスのせいもあって、田中圭はこれまで多数のドラマ・映画などで「優しい兄」「途中で死んでしまう役」などをたびたび演じてきた。


 それでいて、意外にも「脱ぐとスゴイ」。見るからにワイルドなタイプと違い、色白ふわふわのソフトな顔に似合わず、マッチョなのは高ポイントだろう。


(2)無防備でルーズでユルイ性格


 ストイックさがまるでなく、お菓子をボロボロこぼしながら食べたり、唐揚げを口いっぱいに頬張って大興奮で食べたりするこどっぽさ、ユルさに、つい母性本能(?)をくすぐられてしまう。


 しかも、このユルさは自分自身の生活スタイルやルールだけでなく、他者に対する寛容さにもつながっている。寛容かつ無防備ゆえに、気づかぬうちに惚れられ、告白され、キスを奪われることすらある。


(3)距離感がいやに近い


 他者との距離感が異様に近い。痴漢に間違われたところを黒澤部長に助けられると、そのまま胸に飛び込んでしまいそうな近さで半泣きの顔をさらす。本社から異動してきた牧の家事力を知るや、唐突に同居を提案してしまう。自ら誘っていると思われても仕方ない。


(4)お人好しで優しく、スキだらけ


 仕事中でも道を尋ねられ、困った様子の人を見ると放っておけずに案内してしまう。鉄筋が倒れてきて部長が下敷きになりそうになると、とっさにかばい、自分が下敷きになってしまう。そんな自分を心配し、涙ながらに抱きつく部長を思わず受け止め、思わず頭を撫でてしまう。


 また、自分に告白してきた牧に、「その気がないなら優しくしないでください」と言われながら、自分のもとを去ろうとすると、反射的に引き留めてしまう。引き留めたら最後、それはOKと同義だ。


 しかも、春田のお人好しぶりは、逡巡の末の選択ではなく、「思わず」「無意識のうちに」「脊髄反射的に」発動する。だからこそ、スキだらけ。そして、そのスキに油断させられるのか、相手も隠していた恋心をうっかり吐露してしまう。悪い人間なら、スキをついてYESを引き出すこともできそうだ(※このドラマに悪人がいないのは幸いだろう)。


(5)ダメ人間だからこそ「自分だけが魅力に気づける」楽しみも


 春田の仕事上のミスを全員でカバーする際、愚痴をこぼす後輩に「逆の立場だったらどうだ? 春田だったら、お前のミスを責めたと思うか」と部長は聞く。絶大な信頼である。


 また、営業先を案内してもらった牧は、春田がマンションの管理人や街の住人たちと親しく交流する姿を見ながら、「すごいなあ」と感心する。エリートの牧にとって、営業成績が悪くとも仕事抜き・打算抜きであたたかい関係性を築ける春田は、自分にないモノを持つ人間にうつるのだろう。


 後輩の尻拭いばかりしていて、営業成績はいつもビリで、ダメ人間の春田。その魅力に気づけるのは、幼馴染のちず(内田理央)を除いて、デキる男ばかりというのは大きなポイントだ。視聴者もまた、その「デキる人間」たちのフィルターを通すことで、春田の魅力を自分で発見する気分になれる。


 そして、この春田のナチュラルな魅力を表現できるのは、これまで様々な役柄をフラットにこなしてきた無色かつ経験豊富な田中だからこそ。恋心を抱くのも、それを思わずカミングアウトしてしまうのも、叶わぬ恋に苦しむのも、あれもこれも春田のせい。つくづく罪作りな男なのだ。


(田幸和歌子)