マクラーレンF1チームは、チーム改革の一翼を担ってもらうためとして、2度のインディカーチャンピオンでインディ500優勝経験者のジル・ド・フェランを迎えたと発表した。
ドライバーとして素晴らしい成績を残したド・フェランは、一時期BARホンダにスポーティングディレクターとして在籍していたこともある。
CEOのザック・ブラウンは「ジルはマクラーレンの親しい友人だ。彼には、若いドライバーたちへのアドバイザー役として来てもらった」と説明し、さらに以下のように続けた。
「彼はガレージまわりの事情に通じた優秀なレーサーだ。彼の持つ豊富な知見は、我々チームがより良くなるための助けになるし、我々はそれをオープンな姿勢で取り入れていこうとしている」
チームは現在コンストラクターズ選手権で5位につけており、成績が低迷していた2017年と比べれば著しい進歩を遂げている。それでもマクラーレンは期待したほどの成果をあげておらず、今よりもずっと良いパフォーマンスができるはずだ、との印象はぬぐえない。
マクラーレンは技術部門再編の一貫として、4月にはチーフテクニカルオフィサーだったティム・ゴスを解任している。
ドライバーのストフェル・バンドーンは、F1第6戦が行なわれるモナコで以下のように語った。
「ジルはとても豊富な経験の持ち主だ。彼はチームの中では新しい人材であり、そうした人材が加わるというのは、いつだって良いことだよ」
「僕はバルセロナから彼と一緒ともに仕事にあたってきた。つまりモナコは彼にとって2度目のレースウイークになる。協力関係をどのように発展させていけるか、見守っていこう」
フェルナンド・アロンソもバンドーンと同様にド・フェランの参加を歓迎している一方で、この話を聞いたときには少し驚いたとも明かした。
「今回の話に僕はまったく関わっていなかったんだ。彼がチームにいると知らされただけだった」とアロンソ。
「数週間前、ザックから電話で今回の話を聞いた。チームのパフォーマンスを最大化するために、そしてチームが持つリソースその他の様々なことに外部の視点で助言してくれる、ということだった」
「彼が加わってくれるのは良いことだ。僕たちがここでやっているいくつかのことについて、新しいアプローチや異なる視点を導入してくれるだろうからね。彼は素晴らしい人物だよ」
「今のところ、彼は話し手というよりは聞き役に回っている。チームが様々なことをどう進めているのか、あるいはマクラーレンF1チームにはどういう哲学があるのかといったことを、理解しようと務めているのだろう」
「実際に助言を始めてくれるのはもう少し後、数カ月後からだと思う」
だがマクラーレンがド・フェランを非公式コンサルタントに任命したのは、F1での助言役として以上に、チームによるアメリカのオープンホイール選手権進出を見据えているからだという見方もある。
「我々はF1以外のモータースポーツに進出することも考えている」とブラウンは認めた。
「特にインディカーについてはチームで検討中だ。言うまでもなく、彼はそこで素晴らしい成績を残してきた。彼はこれから、インディカーのレースが行なわれるデトロイトにも我々のF1ガレージにも、頻繁に出向くことになるはずだ」