これほど技術が発達した現代でも、不思議なことに、ドライバーには相性のいいサーキットとそうでないサーキットがある。
モナコ在住のブレンドン・ハートレーは、モナコで過去にフォーミュラ・ルノー3.5で2度レースをしている。2010年は4位で、2011年は3位表彰台に上がっている。2010年がシリーズ10位で2011年もシリーズ10位だったことを考えると、モナコの成績はシーズンを通した平均を上回る活躍だったことが想像できる。
一方、ピエール・ガスリーは3度モナコでレースしている。2014年はフォーミュラ・ルノー3.5で、このときは7位だった。翌年から2年間、GP2シリーズで走っているが、15年はレース1が14位でレース2が10位。16年もレース1が15位でレース2が13位と振るわなかった。
果たして、2018年。2人にとってF1ドライバーとして初めて臨むモナコGPは、初日を終えた段階では、これまでの相性どおりの結果となったようだ。
初日11番手発進のハートレーは「ウォールからウォールへダンスしながら走っている感じで楽しかった」と、F1での初モナコに好感触。ハートレーはフリー走行1回目も12番手と安定して速かった。
「ハイパーソフトだけでなく、ウルトラソフトでもいい感じだった」(ハートレー)
対照的にガスリーは「満足できるセットアップが見つけられなかった」と初日は2回のセッションとも14番手に終わった。ハートレーとの差はそれほど大きくないものの、じつは今シーズン、ガスリーが初日に2回のセッションともチームメイトに先を越されるのは、これが初めてのこと。
さらにガスリーはフリー走行2回目の終盤に「ブレーキに問題が発生した」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)ため、予定よりも早めにセッションを切り上げなければならなかった。
しかし、2人が過去にモナコでレースしたときと、今回では大きく違うことがある。それはF1のモナコGPには金曜日に安息日があるということ。
「前後のポジションのドライバーたちとすごく接近しているので、予選では完璧なラップを刻んで、Q3へ進出したい」とハートレーが言えば、ガスリーも「チームメイトの走り見れば、クルマには速さがある。あとコンマ2、3秒を見つけ出せれば、トップ10を目指して戦えるから、明日(金曜日)いいセットアップを見つけたい」と安息日にも休まず作業するという。
その2人のマシンを準備するチームスタッフはすでに木曜日の夜から作業を開始。
「やりきれなかった作業を金曜日に行う」(田辺TD)ため、木曜日の夜もモーターホームで夕食を済ませた後、パーティで盛り上がるハーバーを横目に見ながら、ガレージへと消えていった。