モナコGP初日のフリー走行1回目終了直後、モナコGP主催者が粋なイベントを開催した。ニコ・ロズベルグと父のケケ・ロズベルグがF1マシンに乗って、モナコ市街地サーキットを1周した。
このイベントがF1の歴史にとって、特別な意味を持つのは、F1の親子チャンピオンがランデブー走行するのは、これがF1史上これが初めてのことだったからだ。
F1で親子チャンピオンを達成したのは、ロズベルグ親子のほかに、グラハムとデイモンのヒル親子の2組だけ。
このうち、68年にタイトルを獲得したグラハムは、75年に飛行機事故に遭遇。96年にチャンピオンとなった息子の勇姿を見ることなく、天国へ旅立った。つまり、F1の長い歴史で親子のチャンピオンがともに存命しているのは、ロズベルグ親子だけなのである。
さらにそのロズベルグ親子に、主催者はチャンピオンを獲得したときのマシンを用意。ケケは1982年のFW08、ニコはメルセデスW07をドライブした。ケケがFW08をドライブするのは、F1の60周年を祝うイベントが行われた2010年のバーレーンGP以来のこと。
ただし、そのときは、ニコはチャンピオンではなかったから、ランデブー走行は行なっていない。チャンピオンとして親子がランデブーしたのは、今回が初めてだった。
「F1マシンをドライブするのも、住まいがあるモナコを走るのも私たちにとっては特別なことではないが、ニコも言っていたように、チャンピオンマシンに乗ってこんな経験をするのは初めて。最高の気分だよ」とケケは語る。
ニコは昨年、メルセデスのイベントでF1マシンをドライブしているが、チヤンピオンマシンを運転するのは、引退後、初めてのことだった。イベント前にガレージでシートに収まったときに、2年前の記憶が蘇ったのか、なんとか言えない表情を浮かべてきたのが印象的だった。
ともにモナコ在住の2人は、イベント終了後もモナコGP主催者からの招待を受け、自宅からサーキットに通って観戦する予定になっている。