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「表面からは見えない感動を伝えたい」モデリスト長谷川彰良が服を"半・分解"にする理由

2018年05月24日 15:33  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

長谷川彰良氏 Image by: FASHIONSNAP
フリーモデリストの長谷川彰良氏による展覧会「半・分解展」が、渋谷のギャラリー大和田でスタートした。会場にはフランス革命から現代まで"半・分解"された衣服の展示に加えて、すべての展示品の試着サンプルを制作。中にはフランスの博物館から買い取ったものもあるという。数々の貴重なヴィンテージを長谷川氏はなぜ分解するのか。

 長谷川氏はエスモードジャポンを卒業後、アパレル企業を経て2016年に独立。現在は企画から納品まで請け負うフリーモデリストとして活動するほか、名古屋ボストン美術館や慶應義塾大学などでレクチャーを担当している。
 長谷川氏が「半・分解展」をスタートしたのは2016年。1666年にチャールズ二世が行った「衣服改革宣言」によりスーツが誕生してから350周年という節目にあわせて独立し、これまで研究してきた衣服に対する恩返しとして企画したという。展覧会は好評を得て、今回2回目となる開催を決めた。
 展示品はスーツやミリタリーウェア、作業服などすべて紳士服だが、試着サンプルは女性用にも制作。「体感」というテーマに基づき、"見て、触れて、試着もできる"構成にしたという。今回は初の試みとして、各展示品に長谷川氏がその衣服を手に入れるまでの背景や思いを綴ったキャプションを用意。また期間中は全型のパターンの販売やオーダーメイドの受注を受け付けている。
 長谷川氏が"半・分解"する原点となった展示品は1900年初頭のフランスの消防服。「この服に出会ったのは20代のころ。当時の僕の審美眼に通じない感動がそこにあって、見た瞬間は言葉が出なかった」と振り返る。その"感動"がどこから来るものか探るべく手に入れたその日に分解したところ、現代のビスポークテーラーと同じ仕立て方だったという。現代の技術が100年前にも使われていたという感動体験が、ものづくりを仕事にしていくきっかけになった。
 初日にはフランス革命が起こる前に貴族が着ていた「アビ・ア・ラ・フランセーズ」の分解パフォーマンスを実施。フランスの博物館から買い取ったもので貴重な資料にもなるが、長谷川氏は「"服の表面から漂っているもの"が何なのか、裏側を伝えていきたい」と自身のスタイルを貫く。展覧会には「熱狂的な学生やマニアな人に来てもらいたい」と呼びかけている。渋谷会場の会期は5月28日までで、終了後は6月12日から17日まで名古屋のギャラリー矢田で開催する。
■半・分解展入場料:一般2,000円/学生1,500円再入場無料、中学生以下無料、20名以上の団体割引(予約制)
東京 渋谷会場:ギャラリー大和田住所:東京都渋谷区桜丘町23-21 2F会期:5月23日(水)~5月28日(月)時間:10:00~21:00(初日 15:00~21:00、最終日 10:00~17:00)
愛知 名古屋会場:ギャラリー矢田住所:愛知県名古屋市東区大幸南1丁目1-1-10 カルポート東 4F 第一展示室会期:6月12日(火)~6月17日(日)時間:10:00~19:00(最終日 10:00~17:00)