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安田顕が見せた“子を持つ親”としての怒り 『正義のセ』が切り込んだ保育園問題

2018年05月24日 13:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 検事・竹村凜々子(吉高由里子)と事務官・相原勉(安田顕)のコンビが事件に立ち向かう姿が痛快な『正義のセ』(日本テレビ系)。第7話の主人公となるのは相原。事件に対して父親としての顔を覗かせる、いつも以上に熱い彼の姿勢に注目が集まった。


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 ある保育園でケガをした園児・小峰宏尚(佐藤令旺)の父親・雄一(近藤公園)が、園側の説明に納得がいかず被害届を提出。調査すると、その保育園は「保育士は2人以上いなくてはならない」と定められた認可保育園の設置基準に違反しており、保育士の数を水増し申請した上で、不正に補助金を受け取っていた。


 園内の保育士による勇気ある供述によって、事件は解決へと向かっていくが、園長・瀬川弥生(朝加真由美)は不正受給に対して、「全ては多くの子供たちを受け入れるため」「親御さんたちは私に感謝してくれている」と言い張る。その言葉に相原は「いいかげんにしてください!」と園長を一喝。


「両親がどんな気持ちで保育園に子供たちを預けているか。寂しい思いをさせてごめんねという後ろめたい思いと戦いながら、親は毎日を、1分、1秒を頑張っている。不正に気付いたとしても、保育園を追い出されたら、と思うと親は言い出せない」「切実な思いをあなたは考えたことがありますか?」「あなたは親御さんたちを傷つけた。そのことをしっかりと受け止めてください」


 瞳に涙をためながら、厳格に、それでいて内に秘めた怒りをあらわにする安田顕の演技は、1人の父親としてのもの。


 「すみませんでした。出すぎた真似をしてしまいました」と、検事をサポートする事務官としてはあるまじき行為であることを相原は謝罪していたが、同席している凜々子はその迫力ある風格に呆気に取られ、ホロリと涙を伝わせ何も言えなくなる。バディである凜々子も目の当たりにしたことがない、相原の厳しい姿だ。


 熱い思いを持っているからこそ、バツイチの相原は娘に優しい。久しぶりに会える美菜(高松咲希)を待つ相原は少し不安げに見えるが、愛娘の顔を見た途端に彼の表情は緩む。凜々子の父・浩市(生瀬勝久)から教えてもらった「小学生が欲しいものランキング」を参考に、相原が娘のプレゼントに選んだのはメイクセット。新しい父親がいながら、娘に会ってしまっている自分を恥じ「ごめんな」と投げかけると、「美菜のパパはパパでしょ」という返事に、相原は思わず娘を抱きかかえる。瞳は少し潤んでおり、厳格な父親としての姿とはまた違った表情が垣間見える。アドバイスをもらった竹村家族への報告として送ったツーショット写真は、満面の笑みで写る父親と娘、何の変哲もない家族そのものだ。


 加えて、安田顕のTwitterには遊具の中にすっぽり入っているシュールな姿のオフショットがアップされている。『正義のセ』第7話は、厳格、温厚、シュールと安田顕のさまざまな表情が見られた週であったと言えるだろう。(渡辺彰浩)