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清野菜名、志尊淳、奈緒……『半分、青い。』永野芽郁演じるヒロインを支える注目の若手役者たち

2018年05月24日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 18歳にして一世一代の闘いを挑みに、たったひとりで東京へと乗り込んだ楡野鈴愛(永野芽郁)。早くも第8週目へと突入した『半分、青い。』(NHK)は、「岐阜編」を終え「東京編」が大いに盛り上がりを見せている。「岐阜編」では、おてんばな幼少期の鈴愛(矢崎由紗)と彼女を囲む大人たちとの家族のドラマや、高校生になった鈴愛の青春を謳歌する姿を、我が子のことのように見守っていた方も多いのではないだろうか。家族や友との、涙ながらの別れののちに幕を開けた「東京編」では、鈴愛自身の成長もさることながら、やはり注目なのは、彼女を囲む仲間たちの顔ぶれの変化である。


「岐阜編」&「東京編」メンバーが集結【写真】


「岐阜編」チームワークが魅力的!


 ふくろう商店街の人々の憩いの場である「喫茶 ともしび」に、ことあるごとに集っては、恋に夢にと、はしゃいで語り合った鈴愛と幼馴染の仲間たち。その“いっつも一緒”なチームワークが魅力的であった。


■西園寺龍之介(ブッチャー)/矢本悠馬(1990年生まれ)


 お調子者の“ブッチャー”こと、西園寺龍之介を演じている矢本悠馬。2003年に映画『ぼくんち』で子役としてデビューし、朝ドラ出演は『てるてる家族』(2003-2004)、『花子とアン』(2014)に続き本作が3作目で、いずれもいわゆる“ボンボン”役を演じてきた。「岐阜編」での、萩尾律を演じる29歳の佐藤健の高校生姿に大きな注目が集まっていたが、矢本も現在27歳でありながら高校生役に見事にハマっていた。そんな彼は映画『ちはやふる』シリーズ(2016-2018)や『君の膵臓をたべたい』(2017)、前クール放送のドラマ『賭ケグルイ』(MBS・TBS系)などでも高校生役で存在感を示し、いまや学園を舞台とした作品に欠かせない俳優である。今作でも愛嬌ある笑顔と、アクションもリアクションも軽快なノリの良さで、作品に活気を与えていた。ブッチャーは京都の大学に進学してしまったため、「東京編」に入ってからというもの登場はないが、あのどうにも憎めない底抜けの明るさが恋しいものである。


■木田原菜生/奈緒(1995年生まれ)


 鈴愛の親友・木田原菜生を演じている奈緒。高校生時代にスカウトされた彼女は地元の福岡を中心に活動していたが、拠点を東京に移してから着実にキャリアを重ね、注目を集めつつある。出演本数こそまだ少ないが、オーディションにて、この自身と同じ名前の読みである菜生役を射止め、知名度が急上昇中。本作を機に、これからの活躍に大きな期待が集まる存在だ。本作で演じる菜生というキャラクターは、実家の「おしゃれ木田原」の将来のため、仲良し4人組のなかで最も地元から近い、名古屋の専門学校に進学。鈴愛が上京する日のバス停での別れのシーンの、涙ながらも真っ直ぐに伝えた菜生の想いには、思わず涙がこみ上げてしまった。矢本演じるブッチャーと同じく、「東京編」に入ってからその姿を見せていないが、次に登場する時にどのような成長を遂げているのか実に楽しみである。


「東京編」個性が光る!


 「漫画家になる!」と岐阜を飛び出した鈴愛。彼女が飛び込んだ先は、売れっ子少女漫画家・秋風羽織(豊川悦司)率いる「オフィス・ティンカーベル」。ロン毛にサングラス姿の出で立ちの個性的な秋風先生だが、彼の右腕となるアシスタントたちもまた、かなり個性的である。


■藤堂誠(ボクテ)/志尊淳(1995年生まれ)


 「ボクって」が口癖のゲイの美青年・藤堂誠を演じている志尊淳。“テニミュ”で俳優デビューした彼は、『列車戦隊トッキュウジャー』(2014-2015)の主役で一気にその名を広め、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2015/フジテレビ系)や、『帝一の國』(2017)、前クールの『トドメの接吻』(日本テレビ系)と、若者たちが中心となる作品で主要なポジションをまっとうし、若手俳優の中でもひときわ強い輝きを放っている。今作で演じる通称“ボクテ”は、秋風先生の優秀なアシスタント。慣れない環境下で孤軍奮闘する鈴愛を何かと気にかけ、その優しい笑顔には多くの視聴者の方が癒やされているのではないだろうか。ゲイという設定の複雑な役どころに挑む志尊だが、今年の頭に放送され大きな反響を呼んだ『女子的生活』(NHK)や『トドメの接吻』でも、性的マイノリティーを自然なかたちで体現してきた。今作でも鈴愛との関係性のなかで深みを増していくのであろう、彼のキャラクターから目が離せない。


■小宮裕子(ユーコ)/清野菜名(1994年生まれ)


 “ボクテ”と同じく、秋風先生の優秀なアシスタントの小宮裕子を好演している清野菜名。『まれ』(NHK)のスピンオフ作品に出演した彼女だが、朝ドラへの出演は今作が初めて。最初は新入りの鈴愛に冷たい態度をとり、ハラハラしながら見ていたものの、ふたりの距離がぐっと縮まる場面では、ついこちらも笑みがこぼれた。今作での通称“ユーコ”は、次第に鈴愛と親友になっていくことになるようだが、間もなく封切られる映画『恋は雨上がりのように』でも、小松菜奈が演じる橘あきらの親友・喜屋武はるか役として、その表現力の高さに大いに魅せられた。クールな“ユーコ”とはまたひと味違う、満開の快活な笑顔に注目である。そんな清野だが、『トットちゃん!』(2017/テレビ朝日系)での若き日の黒柳徹子役の好演も記憶に新しい。同じようにレトロファッションもよく似合う、『半分、青い。』の世界にばっちりと溶け込んでいる彼女が、鈴愛の存在によって変わっていく“ユーコ”の成長をどのように演じるのか楽しみである。さらに今秋は『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で、橋本環奈とともにWヒロインを務める。『銀魂』などの福田雄一監督が演出を務める青春不良コメディとあって、清野がどんなハジけっぷりを見せるのかあわせて楽しみだ。


 「岐阜編」から「東京編」へと、それぞれ個性のあるキャラクター、実力を備えた若手役者同士が見事なバトンタッチを遂げている。彼らを演じる4人よりも鈴愛を演じる永野の方が年少だが、朝ドラのヒロインという大役を背負う彼女を、彼らがどのように支え、またどのような化学反応を起こしてくれるのか、まだまだ期待である。


 さらに「東京編」では、中村倫也演じる朝井正人や、古畑星夏演じる伊藤清も登場。両者とも、鈴愛と律の関係性に大きな影響を与える存在だ。楡野一家をはじめとする「ふくろう商店街」の人々が、何があっても鈴愛の味方でいてくれていたのとは違う環境である東京で、鈴愛の成長に彼らの存在が作用する成り行きを、今後も見守っていきたいところである。


(折田侑駿)