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監督が口説き落とした? ジョニー・グリーンウッド、アカデミー賞授賞式出席の背景

2018年05月23日 16:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 5月26日に全国ロードショーされる映画『ファントム・スレッド』より、本作の音楽を手がけたジョニー・グリーンウッドとポール・トーマス・アンダーソン監督の4作に及ぶ友情秘話が明かされた。


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 本作は、アンダーソン監督と名優ダニエル・デイ=ルイスが、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』以来2度目のタッグを組んだラブストーリー。1950年代のロンドンを舞台に、天才的なオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックが、若きウェイトレスのアルマと出会ったことにより、完璧で規律的だったレイノルズの日常が次第に狂い始めていく模様を描く。デイ=ルイスは本作で俳優を引退することを発表している。


 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でアンダーソン監督の音楽を初めて手がけたグリーンウッドは、その後『ザ・マスター』と『インヒアレント・ヴァイス』でも音楽を担当しており、今回が4作目のタッグ。レディオヘッドのメンバーでありながら、映画への楽曲提供も盛んで、日本では6月1日に公開される『ビューティフル・デイ』でもその才能を発揮している。グリーンウッドがアンダーソン監督から『ファントム・スレッド』で受けた注文は、「ロマンスと暗さを示唆する音楽」というものだったという。「レディオヘッドのメンバーの君に“ロマンチック”なんて言葉は似合わないかもしれないけれど」と、気の知れた仲だから言える冗談も飛ばしたそうだ。


 そんな冗談を跳ね返すかのように、次々と楽曲を生み出したグリーンウッド。フェルトで抑えたピアノやストリングスを使った20以上の曲を作り、制作の途中段階で何度もアンダーソン監督に聞かせた。本作の編集を担当したディラン・ティチェナーは「音楽を受け取る時点では、それぞれどのシーンに使うかは決まっていないから、僕とポール(・トーマス・アンダーソン監督)は映画のあちこちに当てはめてみるのだけれど、良いシーンに良い音楽がつくと、シーンが生き生きとするんだ」と語る。


 そして見事アカデミー賞作曲賞にノミネートされた本作。それはグリーンウッドにとってうれしい結果であったが、同時に彼を困らせたという。「恥ずかしそうに、自信なさげに周りを歩いて変な汗をかいている僕なんか、誰もみたくないだろう?」と、授賞式が行われるドルビーシアターに出席することに気が進まなかったことを明かす。しかしアンダーソン監督は、「君が馬鹿みたいに着飾って現れても最高だし、君が出席してステージで何かを発言しなくちゃならなくなっても(つまりは受賞したとしても)最高だ! だから僕にとっては得しかないよ」と、彼が授賞式に出席することを望んだ。


 そんなアンダーソン監督の言葉に応えるべく、グリーンウッドは出席を決意。AP通信で彼の出席のニュースを見たアンダーソン監督は、AP通信に自ら「グリーンウッドが来るんだね!? 確証を得たい!」と興奮気味にメールを送ったそうだ。そして見事アンダーソン監督の希望が叶い、お互いのパートナーと並んだ4ショットが実現した。


 また、4年ぶりに復帰するフィギュアスケーターのキム・ヨナが、5月20日から22日にかけて韓国・ソウルで開かれるアイスショー「SK テレコム オールザットスケート 2018」のプログラムで、劇中曲「House of Woodcock」を使用することも発表された。


(リアルサウンド編集部)