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FIA-F4鈴鹿:角田裕毅がダブルウインで5連勝。第6戦ではバリアにマシンが乗り上げる大クラッシュも

2018年05月23日 14:31  AUTOSPORT web

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スポンジバリアに乗り上げるほどの激しいクラッシュを喫した岡本大地(ATEAM Buzz RacingF110)
FIA-F4選手権シリーズの第3大会が5月19~20日に鈴鹿サーキットで行われ、第5戦、第6戦ともに角田裕毅(HFDP/SRS/コチラレーシング)が優勝して5連勝。なお第6戦ではクラッシュした1台がタイヤバリアに乗り上げるほどの大クラッシュが起きている。

 ここまで3連勝で、ランキングのトップを疾走する角田が、鈴鹿でも絶好調。木曜日、金曜日に行われたF4トレーニングでは4セッション中3セッションでトップにつけて、もちろん総合ベストを記していた。

 鈴鹿といえば、SRS-Formula出身の角田にとってホームコースであって、ホンダ勢にとってお膝元。名取鉄平(HFDP/SRS/コチラレーシング)や大滝拓也、佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)といったチームメイトも続くなか、唯一互角に渡り合っていた小高一斗(FTRSスカラシップF4)が、予選、決勝をどう戦うか注目された。

 前日未明に降った雨の影響がわずかに残っていたとはいえ、ほぼドライコンディションで予選は競われることとなった。

 後半に路面状態が向上するのは確実ながら、いつ赤旗が出されてもおかしくないのがFIA-F4の予選だけに、ほとんどのドライバーが早々にアタックをかけたのに対し、走り出してはいたが、しばし成りを潜めていたのが角田。逆に最初に2分7秒台に乗せて、パドックをアッと言わせたのが岩佐歩夢(Canastera・EMC・Rn-s)だった。昨年の最終大会以来の出場となる、鈴鹿カート選手権出身の17歳が大躍進を遂げていた。

 しかし、岩佐がトップに立ったのも束の間、ようやくタイムを出してきた角田が大幅なレコード更新となる、2分6秒台をただひとり連発して、2戦ともにポールポジションを獲得する。

 小高も2戦とも2番手につけたが、6秒台に入れたのは1回のみ。いかに角田が安定して速かったかが分かろうというもの。

「最初のプランどおり、路面ができあがるのを待って遅めにアタックしました。でも、ストレートで追い風だったので最高速も伸びたから、攻めていって1コーナーでスピンしたり、トラフィックにも捕まったので、まだまだ行けた感触はあったんですけども」と角田。

 逆に「タイムを出しに行くのが早過ぎました。6秒台に入った時、まだまだ行けたなと思った反面、その時にはもうフロントのタイヤが終わっていて。まぁ、2番手なら大丈夫かと。富士より抜きにくいコースですが、仕掛けていきたいと思います」と小高は反省しきり。

 なお、第5戦の3番手は名取、4番手はHFDPのOB、石坂瑞基(TOEI BJ Racing F110)で、注目の岩佐は佐藤を従え、5番手からのスタートに。本来ならば大滝が3番手タイムを記録していたが、ペナルティポイントの累積で10グリッド降格となっており、追い上げを果たせるかどうかも注目されていた。

 第5戦決勝は角田が無難なスタートを切ったのに対し、小高は出遅れて、脇をすり抜け1コーナーに2番手で飛び込んでいったのが名取だった。そして、その後方では石坂がストールして、一瞬緊張感が走るも、後続車両は巧みにかわしていって一安心。石坂は11番手にまで順位を落としてしまう。

 オープニングラップの上位陣は一列縦隊、角田、名取、小高、岩佐、佐藤、そして川合孝汰(DENSOルボーセF4)……と続くも、2周目に入ると早くも角田が独走態勢に。そして3周目からは名取と角田の2番手争いが、4周目からは岩佐と佐藤、川合による4番手争いが激しさを増していく。

 そのなかで、動きがあったのが4番手争いだ。6周目のシケインで佐藤に抜かれた岩佐は、7周目の1コーナーでオーバーラン。これで川合が5番手に浮上する。さらに最終ラップの130Rで小高が名取に迫るも、ここでは逆転ならず。が、シケインでの名取のミスを逃さずとらえた、小高が逆転を果たすこととなった。もちろん、その間にも角田はまったく危なげのない走りを見せて、今季4勝目をマークすることとなった。

「勝てて良かったんですが、小高選手のペースが良かったので、スタートミスしていなかったら、展開も違っていたかもしれませんね。もう少し目に見えてわかるような離し方にしたかったんですが、明日のレースのことも考えてタイヤを守るような走りをしていたので。まだ何があるかわからないので、明日はさらに気を引き締めて頑張りたいと思います」と角田。

 佐藤が4位で、5位は川合。石坂は岩佐に続く7位でゴール。大滝は追い上げ実らず、16位に甘んじた。

 第6戦決勝は、吹く風も穏やかになり、まさに五月晴れの好天の中での戦いとなった。ここでは小高がスタートを決めて、角田の前に出ることに成功。今度こそ3番手スタートとなった大滝が名取を従えることとなり、5番手スタートだった岩佐は佐藤に抜かれたばかり、石坂と川合をすぐ後ろに置くこととなった。

 まもなくトップ争いは4台に絞られ、それぞれ一歩も引かぬ構え。と同時に、早めの仕掛けを見せていた。3周目のシケインで、まず小高に角田が迫り、ガードを固められている間に大滝が出し抜こうとするも、それはかなわず。だが、戦いはなおも続いて、1コーナーから大外刈りをかけてきた角田を、小高はS字で前に出す。

「もうちょっと粘れたんですが、接触して順位を落としたらもったいないので、仕切り直してもう1回行こうと思っていました」という小高の判断は誤りではなかったが、まもなくSCボードが出されて正解にはならず。

 というのは、トップグループが通過した直後に、1コーナーで3台が絡むクラッシュがあったから。そのうち1台はタイヤバリアに乗り上げているほどで、誰にも怪我がなかったのが、むしろ不思議なぐらい。「次の周に1コーナーを見たら、ぐしゃぐしゃになっていたんで、これは絶対に(SCが)解除にならない。終わったな……と」と小高は肩を落とす。

 小高の予測どおりSCランはしばらく続いて、30分を経過したところでタイムアップ。レースは終了となり、角田の5連勝が決定した。

「スタートの蹴り出しは良かったけど、ホイールスピンしちゃったんです。ペースが良かったので、まともにレースできなかったのは残念です。前に出さえすれば引き離せる自信がありました。この周しかないな、というのをうまくまとめて抜くことができたので、自信にはつながりましたが、本当はラッキーって言われないようなレースがしたかったので、そこだけが心残りです」とは、勝ってなお贅沢な悩みではある。

 3位は大滝が、4位は佐藤が獲得。なお、インディペンデントカップは、第5戦で仲尾恵史(TCS Racing Team)がトップチェッカーを受けたが、黄旗追い越しのペナルティでクラス4位に降格。繰り上がってスポット参戦の久保宣夫(ロジスティックサービスHiguchi)が優勝を飾るも、第6戦は燃料計トラブルで早々にリタイアして連勝ならず。仲尾が今度こそ優勝を飾ることとなった。