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MotoGP:次期Moto2マシンに初試乗。トライアンフの3気筒765ccエンジンの完成度は

2018年05月23日 06:11  AUTOSPORT web

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トライアンフの開発テスト車を走らせ、佐川健太郎氏は「簡単に乗りこなせる代物ではない」と話す
2019年シーズンからMoto2のエンジンサプライヤーとなるイギリスのバイクメーカー、トライアンフ。そのテスト車両をモータージャーナリストの佐川健太郎氏が試乗インプレッション。果たしてどのような乗り味にとなっているのだろうか。

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 2019年シーズンからMoto2チャンピオンシップの公式エンジンサプライヤーとなるトライアンフが開発テスト車を公開。試乗する機会を得たのでレポートしたい。

 エンジンは新型ストリートトリプルRSに搭載される水冷並列3気筒DOHC4バルブ3気筒765ccをベースに大幅な改良が加えられ、吸気効率アップと高回転化により最高出力133馬力、最大トルク80Nm(ノーマルは123馬力/11,700rpm、77Nm/10,800rpm)まで高められている。

 シャシーはトライアンフの市販スーパースポーツモデル、デイトナ675をほぼ流用したもので、Kテック製前後サスペンションとアロー製レーシングマフラー、鍛造ホイールなどが装備されている。

 実際のMoto2マシンは規定でプロトタイプとなるため、本番のレースでは専門のコンストラクターが製造したシャシーが仕様されることになるはずだ。

 試乗会が行われたのはスペイン・アルメリアサーキット。3気筒独特の野太いサウンドを轟かせてマシンが走り出す。

 印象的だったのはミッドレンジのトルクの盛り上がり。そして、吹け上がりの鋭さ。イナーシャを極限まで減らしたピックアップの鋭さは未だ体験したことのないレベルで、2速でも容易にスロットルを開けられないほど。簡単に乗りこなせる代物ではない。

 ハンドリングは基本的にデイトナ675と似ているが、より軽量かつハイパワーなためマシンの挙動は繊細で、たった数ラップの時間枠では思いどおりのラインに乗せることが難しかった。とはいえ、エンジン自体の持つポテンシャルの高さは十分に体感することができたと思う。

 現行のMoto2マシンにはホンダCBR600RRベースの直4エンジンが使われているが、今度のトライアンフ製3気筒エンジンとどちらが速いのか、耐久性はどうなのかなど未知数な部分も多い。トライアンフのチーフエンジニアによると、「今まで長年研究開発してきた3気筒エンジンだけに自信はある」とのこと。現時点でユニットはほぼ完成していて、今後はECUなどの調整をしていくそうだ。

 Moto2はエンジンに関してはワンメイクなので、現行の600cc直4ユニットと同じ土俵で相まみえることはないが、もし戦わばどうなるか? 我々としても興味は尽きないところだ。ともあれ、2019シーズンにはこれらの疑問も明らかになるはずなので楽しみにしたい。