親のための自分史作成サービスを提供する「こころみ」は5月22日、高齢男性の子育てに関する調査を発表した。調査は、同社のサービスを利用した67歳から94歳の男性から任意の100人を選出し、インタビュー中に語った子どもに関する内容から、子育て関与度を集計・分析した。
「子育てを積極的にした」人は、全体の29.1%にとどまり、7割もの男性が子育てをしなかったことが分かった。
「子育てに興味がなかったのではなく、当時の常識に従っただけ」
調査によると、子育てをしていないと話す人の約半数が「子育ては妻に任せっきりでした」「子育ては奥さん中心でしたね」「子育ては任せっきりだったと今でも女房に言われます」など、子育ては妻が行っていたとコメント。また、「夏休みは毎年海水浴」「日曜日は子どものために」「年に一度は家族旅行」と、休みの日には子どもと接する機会を作っていたとも言及していた。
年代別に見ると、70代以下で子育てを積極的にしたと回答した人は36.1%。80代以上では23.3%と、年代によって差があった。80代以上は「仕事が忙しくて、子育ては家内にお任せでした」のように語った男性が多いという。高度経済成長期を支えた世代が、家庭よりも仕事を優先していたことが分かる。
ただ、同社の神山晃男代表はこの結果について、「(高度経済成長期を支えた世代が)子育てに興味がなかったということではなく、その時代は『男は働き、女は家にいる』が当たり前で、常識に従っただけ」と補足する。その理由として、
「子育て自体に関わる時間は少なかったかもしれませんが、『今、幸せをどんな時に感じますか?』などの質問には、みなさん迷いなく『家族と一緒にいるとき』と答えます」
と述べている。
子育てに参加できなかったことを後悔している人も多く、「子どもに対して何もできなかったことを反省しているんです」「今は孫と接する機会を増やしてカバーしようと思っています」など、今後は家族と過ごす時間を大事にしようとする男性も少なくないそうだ。