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WEC:開幕戦3位獲得の澤圭太、11月以来の実戦も「自分の持ち味を発揮できた」

2018年05月22日 14:21  AUTOSPORT web

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左から澤圭太、マット・グリフィン、ウェン-サン・モク
2017年からWEC世界耐久選手権のLM-GTEアマクラスに参戦している澤圭太とクリアウォーター・レーシングは5月5日(土)、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された2018/19年WEC“スーパーシーズン”第1戦スパ・フランコルシャン6時間において、クラス3位表彰台を獲得した。

 シンガポールに本拠を置くクリアウォーター・レーシングは昨シーズン、WECデビュー戦となったシルバーストン6時間での開幕戦クラス優勝に始まり、澤の母国ラウンドであるWEC富士でのクラス2位獲得といった活躍を続け、最終戦バーレーンまでライバルとタイトル争いを繰り広げた。

 そんなチームは参戦マシンのフェラーリ488 GTEや、チームオーナーのウェン-サン・モク、澤、マット・グリフィンというドライバーラインアップといった、チーム体制の多くを維持しながら2018年から2019年に渡って争われる“スーパーシーズン”にエントリーしている。

 4月上旬に行われた事前の公式テストを経て迎えたベルギーでの開幕戦では、モクとグリフィンのふたりが金曜の公式予選に臨んだものの、ライバルのアストンマーチン、ポルシェ勢のスピードに太刀打ちできず。ライバルが4台から8台に倍増したGTEアマクラスの9番手に沈み、翌日の決勝は最後尾からスタートすることとなってしまった。

 レースウイーク中もっとも気温の上がった土曜の決勝は、澤がスタートを担当することに。これは昨シーズン、多くのレース成功を収めた、いわばチームの“勝利の方程式”とも言えるフォーマットとなっており、今回のレースでも“ひとつでも上のポジションを奪い、無事に戻ってくる”という重要なミッションが与えられた。

 そんな大役を任された澤はプレッシャーの掛かるなかで1周目に2台をパスしてクラス7番手に浮上すると、その後も安定したペースで次々にポジションを上げていく。最終的にアマクラス最長の26周までスティントを引っ張った澤は、クラス2番手でモクにバトンをつないだ。

 クラス5番手となって迎えた澤の2回目のスティントではチームからの指示でフルプッシュを敢行。強豪アストンマーチン・レーシングの98号車アストンマーチン・バンテージを10周以上のバトルの末にパスして順位をクラス4番手に上げると、続けて、自チームのMRレーシングを率いる石川資章駆る70号車フェラーリ488 GTEを攻略し、表彰台圏内の3番手に浮上してみせた。

 レース終盤は澤から代わったグリフィンが2スティントを担当したクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリは、最終的にアストンマーチン勢に次ぐクラス3位で6時間レースのチェッカーを受け、フル参戦2年目の開幕戦をポディウムフィニッシュという幸先の良い結果で終えている。

 レース後、澤は「2年目の挑戦となるWEC、そして自身3回目の挑戦となるルマン24時間を控えて、幸先よく開幕戦を表彰台で終えられて一安心というのが第一印象です」とコメント。

「一発の速さがまだ不十分ですが、決勝はフェラーリ+ミシュランタイヤの強さを遺憾なく発揮できた内容でした。スタートも冷静に処理できましたし、ペースも戦略もタイヤマネージメントも昨年のバーレーン戦以来の実戦でしたが、問題なくこなせたと思います」

「2回目のスティントもアストンマーチンとのバトルや3位を掛けたフェラーリ同士の戦いなど、内容充実したスティントで自分のドライバーとしての持ち味を発揮できた走りができました」

 チームの戦いぶりについては「後方からの追い上げはやはりリスクが伴うので、予選での速さを増すことが次回のル・マン以降は不可欠です」と語った澤。

「今回は僕とオーナードライバーのウェン(-サン・モク)でクラス3位をキープして、エースであるマット(・グリフィン)選手にラストパートを任せた時点で表彰台圏内は安全という内容のレースができましたけど、やはり総合力でアストンマーチン勢は速く、(モデルチェンジした)ポルシェ勢も予選の一発の速さを決勝でも維持できるようになったら怖い存在であることには変わりません」とライバルを警戒する。

「ピット戦略も含めて給油とタイヤ交換を同時にできることになった今年は、よりヒューマンエラーによるポジションダウンが起きやすく、今回も決勝を通して細かい部分で積み重ねて行ける部分がまだまだあることが明確になった1戦でもありました」

「来月はいよいよ1年を通しての最初の山であるル・マン24時間レースです、まずは6月3日のテストデーで万全の体制を構築して、16日の本戦に挑みたいと思います」

 参戦2年目のWEC、そして3年目を迎えるル・マンに向けて挑戦を続ける澤とクリアウォーター・レーシングは、今シーズンもLM-GTEアマの上位ランカーとして同クラスを牽引する存在となりそうだ。