東京五輪・パラリンピックの大会ボランティア募集について、組織委員会の会合での発言に批判が出ている。3月下旬に公開された募集要項案では、交通費や宿泊費の自己負担・自己手配、1日8時間かつ合計10日間の活動などの条件が提案されていて、「負担が大きすぎる」と反対する声が挙がっていた。
NHKによると、組織委員会はこうした批判を受け会合を開催。有識者の一部から「やりがいをわかりやすくPRしていく必要がある」という意見が出たという。
「『やりがい』ってなんだよ。それじゃ腹は膨れないし家賃も払えないんだよ」
ネットでは、こうした有識者の意見に
「なぜこれで人が集まると思うのか不思議」
「『やりがい』ってなんだよ。それじゃ腹は膨れないし家賃も払えないんだよ」
などと呆れる声が多い。参加者の金銭的・体力的負担が大きいのに「やりがい」を強調する姿勢を、ブラック企業と重ねる人もいた。
ただ、東京五輪の大会ボランティア参加条件は、過去の他の五輪と比べ、取り立てて悪いわけではない。2012年のロンドン五輪では、7万人の大会ボランティアが1日平均8時間、2週間程度の活動で参加したが、宿泊費の支給はなかった。食費の支給はあるが、東京大会でも活動期間中の飲食物の提供があるため、待遇としてはほぼ同じと見てよいだろう。
ボランティアの募集にあたっては、
「震災ん時みんな無償で宿も飯代も自分ら持ちで文句なかったからこれもいけるやろ、て思てへん?意味合い全然違うからね」
「災害時のボランティアは宿泊とか自分が食べるものとかすべて自分持ちなのはわかるけど、こういうボランティアは別のものだと思うのだけど」
と、災害時のボランティアと比べる人もいる。組織委員会は五輪関連のボランティアを「他では決して得られない感動を体験する貴重な機会」としているが、地震や豪雨災害のボランティアと違い、五輪のボランティアには解決すべき大きな社会課題がない。「感動体験」でモチベーションを喚起できるかどうか、疑問の残るところだ。
東京都の旅館・ホテルでは、1万円以上1万5000円未満の宿泊で100円、1万5000円以上の宿泊で200円の宿泊税が徴収されているが、都は16日、五輪・パラリンピック期間中は宿泊税を徴収しない方針を決めた。ボランティア参加者の負担軽減も1つの目的だというが、額が小さいだけに、根本的な負担軽減には繋がらない。
大会ボランティア募集要項は、今後の会合で出る意見を踏まえ、7月下旬に正式決定する予定だ。