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是枝裕和監督『万引き家族』が『カンヌ国際映画祭』最高賞パルムドール受賞

2018年05月22日 11:41  CINRA.NET

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『第71回カンヌ国際映画祭』パルムドールに輝いた『万引き家族』の是枝裕和監督
是枝裕和監督の最新作『万引き家族』が、『第71回カンヌ国際映画祭』で最高賞にあたるパルムドールを受賞した。

授賞式は日本時間の本日に開催。コンペティション部門に正式出品していた『万引き家族』がパルムドールに選出された。

登壇した是枝裕和監督は以下のようにスピーチ。「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。そしてこの映画祭に参加するといつも思いますが、映画をつくり続けていく勇気をもらいます。そして、対立している人と人を、隔てられている世界と世界を映画が繋ぐ力をもつのではないかという希望を感じます。今回みなさんにいただいた勇気と希望をまず一足早く戻ったスタッフとキャストに分かち合いたいですし、作品が選ばれたにも関わらず、ここに参加できなかったふたりの監督たちとも分かち合いたいですし、これから映画をつくり、ここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたいと思います。ありがとうございます」。

今回の『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門にはスパイク・リー監督の『Blackkklansman(原題)』、ジャン=リュック・ゴダール監督の『Le Livre d'image(原題)』、イ・チャンドン監督の『BURNING(原題)』、ステファヌ・ブリゼ監督の『At War(原題)』、ジャ・ジャンクー監督の『Ash is Purest White(原題)』、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』など21作品が出品。パルムドールを競っていた。

コンペティション部門の審査員は、審査員長を務めるケイト・ブランシェットをはじめ、エイヴァ・デュヴァーネイ、クリステン・スチュワート、レア・セドゥ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、チャン・チェンら。

『カンヌ国際映画祭』で日本映画がパルムドールを受賞したのは、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来、21年ぶり。これまでパルムドールを受賞した日本映画は、1954年の衣笠貞之助監督作『地獄門』、1980年の黒澤明監督作『影武者』、1983年の今村昌平監督作『楢山節考』、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』。

是枝裕和は1962年生まれ、東京・練馬出身。早稲田大学第一文学部卒業後にテレビ制作に携わり、1995年に長編映画『幻の光』でデビュー。2001年の『DISTANCE』で『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門に初出品し、2004年の『誰も知らない』で柳楽優弥が『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門で最優秀男優賞を当時最年少で受賞した。9年ぶりのコンペティション部門正式出品作となった2013年の福山雅治主演作『そして父になる』は審査員賞に輝いた。『カンヌ』にはこれまで、コンペティション部門に4回、ある視点部門に2回出品しており、7度目の出品で最高賞の栄誉を掴んだ。

6月8日から日本公開される『万引き家族』は、東京の下町を舞台に「万引き」で生計を立てる一家を描く物語。ある日、団地の廊下で震えていたじゅりを治が家に連れて帰り、娘として育てることを決意するが、ある事件をきっかけに家族が引き裂かれ、それぞれが抱えていた秘密や願いが明らかになっていく、というあらすじだ。劇伴音楽は細野晴臣が担当した。キャストにはリリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、樹木希林らが名を連ねている。