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中川大志の“王子様キャラ”になぜ好感が持てるのか? 役柄に安心感を与える内に秘めた特性

2018年05月22日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在放送中のTBS系連続ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』で、杉咲花扮する江戸川音の婚約者・馳天馬を演じている中川大志。5月15日に放送された第5話での、音に思いを告げるシーンは大きな反響となり、放送終了後、数々の賞賛が寄せられた。高身長で笑顔が爽やかな、いまどきのイケメンだが、中川にはある大きな特徴がある。


参考:【画像】『花のち晴れ~花男 Next Season~』天馬役を演じる中川大志


 完璧な王子様キャラを演じている中川。ある意味で“キャラ”としてドラマや映画で“完璧”を表現する場合、ややデフォルメする必要があり、あえて少々“嫌味”な味つけがされる場合がある。しかし、中川演じる天馬は紳士的かつ、優しさ、すがすがしさが充満している。


 これまでも“王子様”的な役柄を演じてきたイケメン俳優は多いが、ここまで好感の持てる王子様は、あまりお目にかかったことがない。それは中川の持つ特性に起因するところが多いのではないだろうか。


 180センチ近い身長に整った顔立ちながら、可愛らしくも見えるルックスは、まさにイケメンと呼ぶにふさわしいが、中川には10代とは思えないような落ち着きがある。自身も筆者が行ったインタビューで「年齢よりも上にみられることが多い」と語っていたが、確かに映画『ReLIFE リライフ』では、実年齢と同じ高校生役もさることながら、27歳設定の海崎新太を違和感もなく演じていた。


 実際、ダブル主演を務めた平祐奈と中川は1998年生まれの同級生なのだが、27歳の心のまま戻った高校時代の関係性は、本当に10歳違いの見え方をした。こうした部分が、中川が他の同年代の俳優と違う部分なのではないだろうか。


 若くてキラキラ、胸キュン王子様を演じるポテンシャルは十分持っているものの、一本筋が通った頼もしさが感じられる。だからと言って男くさいわけでもない。あえて言うなら、男くさくない男らしさとでも言うのだろうかーー。そして、こうした雰囲気が、演じる人物に安心感を与える。誰もが惹かれるキャラクターを嫌味なく演じられるのだ。


 こうした中川の特性がよく活かされた役が、NHKの大河ドラマ『真田丸』で演じた豊臣秀頼だ。中川は、偉大なる父を持つものの、悲劇的な人生を歩むこととなる秀頼を、青臭さをしっかり残しつつも、武骨過ぎない凛々しさと男らしさで表現した。敗軍の将として背筋を伸ばし、見事に演じ切った。


 もともと中川は、小学生のころから芸能事務所に所属し、11歳のとき、俳優デビュー。中学生のときには、高視聴率をマークした『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で、松嶋菜々子演じる主人公が働く家の長男を好演するなど、俳優としてのキャリアはある。これまでにはキラキラした役柄を演じることもあったが、やはりいまどきのイケメンよりも、一本筋の通った硬派で真面目な側面を持つキャラクターを演じると、その魅力は引き立つ。映画『坂道のアポロン』でも、1960~70年代の設定のなか、豪快で硬派な高校生は彼のはまり役だった。


 2016年には、ファッション誌『ViVi』(講談社)が主催する「国宝級イケメンランキング」で1位に輝いた中川。本人は「選んでいただけるものなので、名前が挙がるだけでもうれしい」と笑顔を見せていたが、謙虚さを持ちながらも、俳優という仕事に対しては、常に課題を見つけクリアしようと向き合うストイックさもある。


 表面的な華やかさだけではなく、内に秘める骨太な部分が彼の特性として、役柄に優しさ、誠実さ、安心感を与えているのだろう。その意味では、馳天馬のような王子様がはまればはまるほど、それとは真逆のダーティーな役柄の中川もみてみたいと思ってしまう。


(磯部正和)