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ウェス・アンダーソン監督が13年ぶり来日、"日本愛"を込めた新作「犬ヶ島」公開に歓喜

2018年05月21日 21:23  Fashionsnap.com

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(左から)野村訓市、ウェス・アンダーソン監督、コーユー・ランキン、ジェフ・ゴールドブラム Image by: FASHIONSNAP
ウェス・アンダーソン監督の新作映画「犬ヶ島」の日本公開を記念したイベントが、渋谷のユーロライブで開催された。これにあわせて、アンダーソン監督が13年ぶりに来日。"日本愛"を込めたという同作への思いを語った。

 「犬ヶ島」は、アカデミー賞9部門にノミネートされた「グランド・ブダペスト・ホテル」を手掛けたアンダーソン監督によるストップモーション・アニメ最新作。近未来の日本を舞台に、ユニークで愛くるしい犬たちと少年の間に芽生えていく温かい絆に世界中がピュアなハートを取り戻す冒険物語で、黒澤明監督や宮﨑駿作品、浮世絵、太鼓など日本の文化やアートからインスピレーションを得て制作された。ボイスキャストには、渡辺謙やオノ・ヨーコ、RADWIMPSの野田洋次郎、夏木マリ、村上虹郎ら日本人キャストも参加した。
 アンダーソン監督は10代の頃に伊丹十三監督作品「タンポポ」を見て以来、「羅生門」などの日本映画に親しみ、2004年に初来日したことで日本をさらに好きになったという。自身初のストップモーション・アニメ作品となった「ファンタスティックMr.FOX」(2009年公開)での経験を活かし、構想から約6年の年月をかけて"アンダーソン監督の中の日本"を同作で実現させた。
 今作では500人以上の人間と500匹の犬を合わせ、1,097体の人形を制作。古典的な手法のストップモーション・アニメの魅力について、アンダーソン監督は「セットから小道具まで、それぞれの職人と仕事ができるのが最大の喜び。ボイスキャストとアニメーターが半分ずつキャラクターに命を吹き込み、全く違うグループのアーティストたちが映画の中で一体となるこの感覚を僕はとても素晴らしいと思う」と話し、新作への意欲もみせた。
 制作期間中には愛娘が誕生し、娘を膝の上に乗せてその日に完成したシーンを見せていたというアンダーソン監督。幼児向けに作った作品ではないため娘にとっては怖いシーンもいくつかあったといい、「そのうちの一つが神主さんが登場する場面。東京の神社で会ったようで、恐怖になっているみたい」とプライベートの話も明かした。
 イベントにはボイスキャストで主人公を務めたコーユー・ランキンやジェフ・ゴールドブラム、野村訓市らが登壇。アンダーソン監督は最後に「イベントでこの場を共有できたことだけでも嬉しい。作品をPRすることは下手だが、心を込めて作った。日本の映画や文化、人々などに対する敬愛を感じ取ってもらえたら幸せ」と呼びかけた。同作は5月25日から公開。