バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)がフランスGPで、開幕戦以来の表彰台に上がった。3列目スタートから大幅にポジションを上げてのポディウム登壇だったが、「ほかのサーキットでも同じようにはいかないだろうね」とロッシは冷静に語っている。
ロッシは金曜、土曜に行われた3回のフリー走行では総合3番手。ヤマハのマシンとしても相性がよく、ロッシ自身としても得意とするル・マン、ブガッティ・サーキットで調子を上げていた。しかし、予選前に行われたフリー走行4で転倒。Q2からのアタックとなった予選では最終ラップでミスを犯し、9番手に終わった。
3列目からのスタートなったロッシだが、決勝レースでは見事な追い上げを見せた。オープニングラップを終えて、6番手にまで浮上。さらに少しずつポジションを上げていく。
「昨晩(土曜日の夜)からずっと、懸命に努力してきたんだ。このなかでマシンのバランスについて2、3箇所のモディファイを試したら、それが功を奏してグリップがよくなって同時に加速性能も上がったんだよ。だから(決勝日)午前中のウォームアップから好調で、『きっといいレースができる』と心のなかで繰り返していたんだ」
「3列目からのスタートは簡単ではなかったけれど、気持ちを集中して一気に飛び出し、1ラップ目からパスしていくことができた。そしてトップグループに近い、とてもいい位置につけたんだ」
ロッシは順調にポジションを上げていき、上位を走行していたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)やヨハン・ザルコ(モンスター・ヤマハ・テック3)などが転倒を喫するなか、13周目には3番手につける。ペースはよかった。
ロッシはそのまま3位でチェッカー。優勝のマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とは約5秒差だ。
「周回を重ねるごとにペースが上がっていった。ラップタイムとペースがよかったことが、今日の結果につながった重要な鍵だったね」
シーズン2度目の表彰台を獲得し、ロッシはトップのマルケスから39ポイント差の4番手に浮上した。次戦はロッシの地元イタリア、ムジェロ・サーキットでのグランプリだ。ロッシは“GPONE”のインタビューのなかで、次のように語っている。
「今回のサーキットは僕たち向きだった。ほかのサーキットでも同じようにはいかないだろうね。頑張って、ポイントを稼いでいかないと。シーズンの後半には、必要な改善があるといいのだけど」
「先週のテストまでは楽観的だったんだけど、今は悲観的になってしまったね。でも、ムジェロはすばらしいグランプリだし、プレッシャーを前向きな力に変えていく必要がある」
「マルケスがすでに(チャンピオンシップで)アドバンテージを持っているしね。僕たちにとって最悪なのはポイント差ではなく、彼がコース上で最速だということなんだ」
一方、ロッシのチームメイト、マーべリック・ビニャーレスは落胆のレースとなった。「ル・マンに到着した時点では、このような結果は想像していなかった」と語るビニャーレスは、7位フィニッシュ。ヤマハのマシンが得意なコースであり、2017年はポール・トゥ・ウインを飾っていただけに、肩を落としたくなるのも無理はない。
8番グリッドからスタートしたビニャーレスは1周目で11番手にまで順位を落とし、上位争いに食い込むことができないまま7位でレースを終えることになった。
「ライバルたちをパスするのに時間がかかってしまい、7番手まで上がったときにはすでに上位から離されていた。上位で戦うことができなかったことがとても残念だよ。これは今後の課題になるね」
しかし、ザルコが転倒リタイヤとなったこともあり、ビニャーレスはランキングで2位に浮上した。
「ランキング2位に上がることができたのは収穫だ。ますます集中し、ハードワークを続けて次のテストに臨みたい。第6戦イタリアGPを迎える前に、ワンステップ上げておきたいね」
2018年シーズン序盤、なかなか表彰台の頂点に上ることができないモビスター・ヤマハ・MotoGPのふたりだが、今、チャンピオンシップのランキングではビニャーレスが2位、ロッシが5位につけている。シーズン独走態勢に入ろうとするマルケスを止めるのは、このふたりのどちらかになるのだろうか。