行政で元号の使用が縮小されそうだ。政府は、各省庁が運用する行政システムの日付データについて、元号を使わず、西暦に統一する方針だという。5月21日、読売新聞が報じた。改元で必要になるシステムの改修費を削減する狙いだ。ただし書類上は今まで通り元号で表記する。
ただ、西暦に統一するための改修には時間が掛かるため、2019年5月の改元には間に合わないという。
「2000年問題の時や平成大合併の時に比べれば余裕がある」
ITジャーナリストの井上トシユキさんも次のように語る。
「元号を使っていたのは、単なる習慣でとりたてて根拠はないと思います。民間企業でも西暦で統一しているところが多いですし、国際的にはもちろん西暦を使っています。今回の改元を機会に元号をやめるということなのでしょう」
書類には元号表記が残るが、「徐々に西暦に移行するのではないでしょうか」と指摘した。
なお、新しい元号は改元の約1か月前に発表されるという。混乱を防ぐためにも、もっと早く公表すべきだという意見も多い。しかし井上さんによると、「2000年問題の時や平成大合併の時に比べれば余裕があると思います」と話す。
「システムを変えること自体がわかっているので、システムをどう直せばいいかもわかります。平成の大合併の時は、どことどこの自治体が合併するのか最後までわかりませんでしたから」
「元号はある程度のまとまりを持った時代区分としては便利」
そもそも「元号を廃止しよう」という意見も根強くある。天皇陛下の生前退位と改元が決まった際も、経済評論家の池田信夫氏が”元号廃止論”を唱えていた。
しかし井上さんは、次のように話す。
「個人的には元号が好きで、思い入れもあるので残してほしいと思います。天皇が変わるごとに元号も変わるというのは長く続いてきた日本の文化でもありますから。それにある程度のまとまりを持った時代区分として便利ではないでしょうか」
例えば、先日話題になった福田淳一・前財務次官のセクハラ問題についても「昭和のおじさん」が平成以降の新しい感性についていけなかったと表現するとわかりやすいという。
ネットでは、元号と西暦の変換が手間であることから、この動きを歓迎する声が相次いでいた。ただやはり「この機に書類上も西暦表示に統一すべきでしょう」という意見もあった。