インディカー・シリーズ第6戦にスケジュールされた第102回インディ500は、19、20日の2日間に渡って予選が行われ決勝へ進む33グリッドが決定。ポールポジションはエド・カーペンター・レーシングのエド・カーペンターが獲得した。
インディアナ州出身37歳のエド・カーペンターが第102回インディアナポリス500のポールポジションを獲得、歴史あるスピードウェイに集まったファンから喝采を浴びた。
4人を走らせる最強軍団チーム・ペンスキーを打ち負かす最速予選アタックには、今年唯一の230mphラップも1周含まれており、インディ500ファン、そして地元インディアナのファンを喜ばせた。
4周の連続走行によるポール獲得スピードは平均229.618mph。予選2番手は228.761mphを出したシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、予選3番手は228.607mphのウィル・パワー、予選4番手は228.405mphのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。
トップ4を独占したシボレーのトップを獲ったカーペンターは、チーム・ペンスキーによるフロントロウ独占を阻みもしたわけだ。
しかも、彼のチームはスペンサー・ピゴットが予選6番手、スポット参戦のダニカ・パトリックも予選7番手に食い込ませた。エントリーした3人全員が予選ファストナインに入ったのは、チーム・ペンスキーと肩を並べる大活躍として賞賛されるべきものだった。
インディ500に並々ならぬ情熱を注ぎ込むチームは、新エアロ導入初年度という小規模チームには難しい条件も跳ね除けて見せたのだ。
「229mph台が出せるのはデータからわかっていた。昨日の予選での自分たちは、持っている力を全て発揮できていなかったが、228.692mphを出せていた。しかし、今日のアタック1周目に230mphが出た。あれには感激した」
「そこまでいけるとは正直考えていなかったからね。しかし、今日のポールは過去2回のポールと比べると実はいちばん簡単だったよ」とカーペンターは語った。
ダニカ・パトリックは、「予選アタックは退屈になるぐらいがいいと考えていたけれど、実際にそうなった。実はどんな予選になるかドキドキしていたので、終わってほっとしている」と話した。
ペンスキー最速となったが、カーペンターに上回られてインディでの初ポールを逃したパジェノーは、「ストレートでのスピードを稼ぐため、可能な限り空力をトリムした。そのセッティングで何とかコーナリングも4周すべてでうまくこなし切った」
「緊張したアタックだった。PPを獲得したエドを祝福する。シボレーも素晴らしい仕事をした。僕たちチーム・ペンスキーとしては、フロントロウからのスタートなのだから、満足したいね」と話した。
パワーは、「ダウンフォースをつけ過ぎスピードが伸びなかった」と悔しがっていたが、「マシンは非常に良い。フロントロウスタートだし、優勝のチャンスは大きい」とコメントした。
予選5番手はセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)。ホンダ勢トップの彼は、ホンダ勢で唯一228mph台に載せる228.142mphを記録した。
デイル・コイン率いるチームは今やホンダのエース的存在。ルーキーで、負傷したピエトロ・フィッティパルディの代役としてインディを走っているザッカリー・クレイマン・デメロも予選13番手で強豪アンドレッティ・オートスポート勢の間に割って入って見せた。
予選6、7番手はエド・カーペンター・レーシングのスペンサー・ピゴットとダニカ・パトリック。スポット参戦のパトリック、2011年以来のインディカー・ドライブの彼女がファストナインに入れるぐらいに彼らのマシンはハイレベルの仕上がりになっていた。
そして、シボレーエンジンにパワーがあった。シボレー・ユーザーは今年のファストナインのうちの7人に及び、予選トップ12に9人が入っていた。
予選1日目に最速だったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、自身4回目となるインディのポールを狙いにいったが、空力セッティングで攻め過ぎてアタック終盤でタイヤのグリップがダウン。予選結果は8番手となった。もちろん十分に優勝、史上最多タイとなる4勝目は射程圏内だ。
アンドレッティ・オートスポート勢はプラクティスでは上々の走りを見せていたが、予選では失速気味だった。予選第1ラウンドでは2016年インディ500ウィイナーのアレクサンダー・ロッシがファストナイン入りを狙って二度目のアタックまで行ったが、パトリックをはじき出すのに0.043mph届かず。
予選2日目のアタックではセッティングを外し、グリッドは最後列中央の32番手となった。今年の最速ラップである231.802mphを予選前日にドラフティング利用で記録しているマルコ・アンドレッティは予選12番手からインディ500初優勝、チームにとっての3連勝を狙う。
2014年インディ・ウイナーのライアン・ハンター-レイは予選14番手だった。
昨年度ウイナーで、今年はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからエントリーしている佐藤琢磨は、レース用ブーストでのプラクティスでの順位が24番手と、トラフィックでのマシン作りがスムーズに進んでいなかった。
金曜日からは予選に集中。しかし、1ラウンドを終えての順位は29番手で、チームメイトふたりもオリオール・セルビアが30番手、グレアム・レイホールが31番手と揃って大苦戦だった。
しかし、予選2日目にセッティングの大幅向上を実現させ、琢磨は予選16番手となった。13ものポジションアップだ。
「マシンが朝のプラクティスで良くなりました。4周連続走行で、すべてのラップを平均して良くする戦略にしました。1周のスピードを上げようとすると、2周目以降のスピードダウンが大きくなってしまうと考えたからです」
「空力の考え方で一歩大きく進歩した。今日得られたマシンの向上は、レース用セッティングにも反映できます。トラフィックでの走行では木曜に良い感じを得られていたので、その時のセッティングと今日のものをうまく合わせるようにします。明日のプラクティスが楽しみになりました」と琢磨の表情は一気に明るくなっていた。
予選を終えた第102回インディ500。21日のプラクティス走行と25日に最後のプラクティス走行となるカーブデイを行い、いよいよ27日に決勝レースを迎える。