F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」を尋ねる連載企画。今回はカルロス・サインツJr.の父で、2度のWRC世界ラリー選手権チャンピオンを獲得しているカルロス・サインツだ。
—————————————
スペインGPの予選後、ピットガレージの2階にあるメディアセンターからパルクフェルメを眺めていたら、カルロス・サインツがカメラマンを押しのけて、パルクフェルメの中へ入って行く様子が見えた。
息子のカルロス・サインツJr.は9番手なのに、何をしに行ったのだろう? と疑問に思っていたら、国際映像に映し出された画像を見て納得した。
画面にはポールポジションを獲得したルイス・ハミルトンにピレリのミニチュアタイヤを渡す映像が映し出されていた。
今年からF1とピレリは『ピレリポールポジション賞』を設け、各グランプリでポールポジションを獲得したドライバーにピレリの風洞モデルと同じサイズのタイヤをプレゼントすることにしているのだ。カルロス・サインツは、そのプレゼンターとしてF1とピレリに呼ばれて、パルクフェルメにやってきたのである。
それにしても、なぜカルロス・サインツだったのか。翌日、パドックでカルロス・サインツに会ったので、その理由を尋ねてみた。
「私が初めて世界ラリー選手権(WRC)で、トヨタ・セリカに乗ってタイトルを獲得したのは1990年だが、そのとき履いていたのがピレリだった。私はその後、92年に再びチャンピオンになったときに履いていたのもピレリ。しかも、ここはスペインだからね」
ちなみにカルロス・サインツがステアリングを握ったトヨタ・セリカの『セリカ』というのは、『神秘的な』とか『神々しい』という意味のスペイン語からつけられた名前だった。