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GT500×DTMの交流戦にFIAが“ワールドカップ”の打診も「SGTがまずありき」と坂東代表

2018年05月21日 10:21  AUTOSPORT web

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スーパーGT500クラスの3台とDTMの3台によるデモランが、ツインリンクもてぎでついに実現した。
5月20日、スーパーGT第3戦が開催されている鈴鹿サーキットで、GTアソシエイションの坂東正明代表がGTA定例記者会見のなかで、DTMドイツツーリングカー選手権との交流戦開催についての進展を語った。

 DTMとスーパーGT500クラスは、長年『クラス1』と呼ばれる車両規定統一化に向けて交渉が進められており、2014年からのGT500の規定変更にともない多くのパーツを統一化。2017年には双方の車両が日独両国でデモランを行うなど、交流が深められていた。

 そんな両シリーズは今後に向けて、『クラス1』の規定完成、そして両シリーズの車両による“交流戦”の開催が目指されてきた。これについては、2019年に日本とドイツで1戦ずつの交流戦の開催が具体化しはじめている。

 現在DTMでは、空力性能が削減されたパーツを使用されており、交流戦ではGT500車両もこれを使用するなどの調整、また性能調整を行ってDTM車両とのファイナルを開催する予定だ。また、クラス1規定については、6月のDTMノリスリンク戦で両シリーズによるステアリング・コミッティを開催し、2020年から導入されるクラス1規定完成の調印式を行う予定だという。

 ただ、交流戦に向け坂東代表は気になるトピックスを明かしている。FIA国際自動車連盟が、5月中に開催されるマニュファクチャラー部会に坂東代表をプロモーターの立場で招待したという。そして2020年に向けて、「まだ直接聞いてはいないが、(FIAによる)ワールドカップのような話が持ち上がっている」とした。

 これについて坂東代表は、決して世界選手権化に進むというわけではなく、現段階ではあくまでスーパーGTとDTMとの交流戦であり、「(FIA会長の)ジャン・トッド、そしてFIA、ユーロスポーツ・イベントの話を聞かなければいけない。ただ、我々は常にスーパーGTがありきだと思っていて、ITRもDTMありきでやっている。それでなければ世界選手権は望まない」としており、スーパーGTでファンが求めるレースを開催することが最も重要だという立場を強調している。

 なお、交流戦についてはミッドシップレイアウトのホンダNSX-GTは出場することが可能だが、「2020年からのクラス1はFR規定となっており、もしワールドカップとなればFIAの管轄となるので、NSXは出場できない。これについてはホンダと話していく」としている。

 また、気になるのは2018年限りでメルセデスAMGがDTMを撤退することによる、DTM自体の将来だ。坂東代表は常々ITR e.V代表のゲルハルト・ベルガーとコミュニケーションをとっているが、坂東代表は「DTM側は(アウディ、BMWに次ぐ)第3のメーカーを探している」と語った。

「第3のメーカーはまだ確定ではないが、2020年には参戦の可能性がある。また、アウディ、BMWの車種を増やしたり、プライベーターの参戦を増やし継続したいとしており、それなら交流戦は実現できる」と語った。

「DTMも新しくドイツの民放でテレビ中継がはじまったりしている。今後DTMがどうなるのかは、我々の組織ではないこともあり、不安を自分たちが持つ必要はないと思っている」と坂東代表。

 日本が世界に誇る屈指のレーシングカーであるGT500、そしてドイツメーカーが作り上げてきたDTM車両との交流戦は、世界的に注目を集めるイベントだ。今から楽しみに待ちたい。