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米津玄師、TWICE、ONE OK ROCK、欅坂46…YouTubeチャートで強さ見せる要因は?

2018年05月19日 14:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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【参考:YouTubeチャート(2018年5月19日確認)https://charts.youtube.com/】


 新サービス「YouTubeチャート」が提供を開始した。このチャートは、「急上昇」「楽曲ランキング」「アーティストランキング」「ミュージックビデオランキング」の4つに分かれている。「急上昇」は他の3つとは違い毎日複数回更新されリアルタイム性の強いものとなっている。「アーティストランキング」は、そのアーティストに関連する動画の再生回数の合計数なので今現在注目のアーティストが一目で分かるものとなっているようだ。また、日本版YouTube公式ブログによれば「楽曲ランキング」は「ミュージックビデオランキング」とは違い、同一タイトルでも複数バリエーションのある楽曲はそれらの動画の合算値によって構成されるとのこと。現状、「楽曲ランキング」と「ミュージックビデオランキング」はほぼ変わらない並びであるが、今後もし音楽の提供の仕方/楽しみ方が「公式MV」以外にも多様化していくとすれば、この両ランキングにも差異が生じていくだろう。


(関連:米津玄師『Lemon』、なぜロングヒット? 初のDLミリオン突破&歴代最高DL含む快挙から紐解く


■圧倒的な強さを見せる米津玄師


 さて、今週の楽曲ランキング/ミュージックビデオランキングの両ランキングで米津玄師「Lemon」が1位を獲得。ミュージックビデオランキングでは彼が関わる作品がトップ10だけ見ても4曲、トップ100まで見ると全部で10曲もランクインしている。まさに”米津旋風”が吹き荒れている状況だが、いまだに彼のメディア露出は抑えられている印象がある。ことテレビに関しては彼の姿を見る機会はほぼゼロに等しい。ラジオで彼の声を聞くことは少なくないが、「動いている米津玄師」の姿を見たい場合、最新シングル『Lemon』の初回限定盤に付属するDVDのライブ映像を見るか、もしくはYouTube上のミュージックビデオを視聴する以外にない状況が長く続いている。このユーザー側の”飢餓感”が爆発的な再生回数を後押ししているとも言えるだろう。


■日本でも大きな支持を集めるTWICEとBTS


 アーティストランキングで1位の米津玄師の後に付けるのが2位のTWICEと3位のBTSだ。特にBTSは米国でもすでに火が付いているグループである。日本では昨年『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初登場、先日は『SONGS』(NHK総合)に初出演し話題を呼んだ。一方でTWICEは昨年末に『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出場を果たすなど、両者は本国を飛び越えて日本国内でも着々と人気を拡大しつつある。こうした両者の動向は、日本国内での数年ぶりの韓流ブーム再燃を感じさせるものだ。


 2000年代に”テレビドラマ”が引き金となって始まった韓流ブームは、2010年前後に東方神起や少女時代などのグループによって”K-POP”という形で再びブームを起こす。そして現在、そうした媒介役に取って代わる存在が”SNS”あるいは”YouTube”といったプラットホームなのだろう。”第3次韓流ブーム”はこうしたインターネット上のツールやコンテンツを通して広がっているのだ。


■チャートから見える現在人気のロックバンドの傾向


 「ロックバンドの元気がない」という声が聞こえてきて久しい音楽シーンだが、YouTube上では今でも大きく注目されているのが確認できる。アーティストランキングではトップ10圏内にONE OK ROCK、WANIMA、UVERworldの3バンドがランクイン。こうして並べてみると現在の日本のロックバンドの音楽性のトレンドも見えてくる。ONE OK ROCKやUVERworldはミクスチャーやラウド、ニューメタルなどがルーツにある。WANIMAはエモ、メロコアといったジャンルのロックだ。どれも90年代から2000年代にかけて栄えたスタイルで、これらのバンドはその最新発展型にトライしている。ランキングで後に続くバンドのRADWIMPSやMr.Children、スピッツなどと比べると上位にいる彼らは感情を強く表に出して激しく叫んでいる印象がある。WANIMA「シグナル」はまさにそうした流れを汲む楽曲で、そこに爽快感のプラスされた一曲だ。


■作品力と独自路線が人気に繋がっている坂道シリーズ


 AKB48の公式ライバルとして登場した乃木坂46とその妹分の欅坂46は、オリコンチャートだけでなくYouTubeチャートでも強さを見せている。アーティストランキングでは5位に欅坂46、7位に乃木坂46と本家AKB48を凌ぐ勢いだ。こうした人気の理由として挙げられるのは、楽曲そのものに加えてメンバーが見せるパフォーマンスや作品中での演技など、ミュージックビデオから確認できる様々な要素をファンが考察したり楽しんでいる雰囲気があるところだ。つまり、聴くためだけではなく観るためにも再生されている。さらに、乃木坂46「シンクロニシティ」の映像美やしなやかなダンスであったり、欅坂46「ガラスを割れ!」での強く世間に訴えかけるような振る舞いなど、今までのアイドルにはない路線を追求しているのもポイントだろう。


 音楽を楽しむ上でもはや欠かせないツールとなっているYouTube。今回の「YouTubeチャート」のサービス開始により今後音楽シーンがどのように変化していくのか、また現在のこの”米津旋風”に誰がどのように切り込んでいくのか、今後の動向に注目したい。(荻原 梓)