エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC) ポルトガルで開催されているWRC世界ラリー選手権第6戦ラリー・ポルトガルは5月18日、競技2日目のSS2~9が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合5位につけた。一方、チームメイトはアクシデントに見舞われ、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)がデイリタイア、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)は今イベントからの撤退を余儀なくされている。
前日のデイ1をタナクが全体首位で終え、良い形で2日目を迎えたトヨタ。そのデイ2はサービスパークのあるマトジニョスの北側、スペイン国境に近いエリアでSS2~7が行われ、1日の最後にはポルトの中心地で2本の市街地ステージが開催された。
前日のリードをさらに広げるべく18日(金)最初のステージ挑んだタナクだったが、トヨタ・ヤリスWRCが得意とする高速コーナーの途中で、コース上に転がる多数の岩を拾ってしまう。
これによってマシンのフロント部に設置されている熱交換器が破損。ダメージがエンジンにまで達していたためSS2の途中で今大会からリタイアすることとなった。
「最初のSSを走り出してすぐに、多くの岩が転がっている路面に遭遇した」とタナク。
「一体どこから出てきたのか分からないが、ひとつやふたつではなく、4つか5つぐらい岩があり、避けることができなかったんだ」
「その結果、ラジエターに岩が当たってダメージを受けエンジンに問題が生じた。すぐに停止したのだけど、このラリーでの修復は不可能な状態だった。僕たちにとっては、(このリタイアは)かなり大きな痛手だね」
トヨタの不運はさらに続き、SS3ではラトバラの駆るヤリスWRCのサスペンションが岩に乗り上げた際に壊れ、この日の競技続行が不可能となった。しかし、チームはマシンを修復しラリー2規定の下、明日のデイ3から再出走を目指すとしている。
チームメイトが戦線離脱するなか孤軍奮闘したラッピは、午前中こそグリップ不足に悩まされたものの、日中のサービスでセットアップを変更したことでペースアップに成功。その後、ダンパーに軽度のトラブルが発生するも、着実にポジションを上げ最終的に総合5番手でラリー2日目を終えた。
「今日の結果は、ラリーが、そしてモータースポーツがいかに苛酷になり得るかを示すものだ。ある日は物事が非常にうまく進んだとしても、またある日は本当に厳しい状況に追い込まれてしまう」と語るのはTOYOTA GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン代表。
「今日は、我々にとって良き日ではなかったが、それでもポジティブであり続けることが重要だ。オット(・タナク)は極めて順調に見え、とても力強く感じられていただけに、これまで経験したことがないほど大きな失望を感じている。でも、彼は次のサルディニアで必ずや活躍してくれるはずです」
「ヤリ-マティ(・ラトバラ)の件についても、皆とても残念に思っている。今回、彼は本当にミスなく走ろうとしていた。チームは明日、彼が再出走できるようにクルマを修復した。ヤリ-マティが明日、速さを見せてくれることを期待しているよ」
「エサペッカ(・ラッピ)は午前中少し苦戦していたようだが、午後には調子が上がっていった。午後のステージは誰にとっても非常に困難な路面コンディションとなったが、彼は荒れたステージでよく頑張ったと思う。明日の出走順は決して容易ではないが、いくらかのポイントを獲得するチャンスはあると考えている」
競技3日目となる19日(土)のデイ3は、サービスパークあるマトジニョスの東側に広がるカブレイラ山脈でSS10~SS15の計6SSが行われる。SS12と再走ステージであるSS15“アマランテ”は今ラリー最長、37.6kmのロングステージだ。6本のSSの合計距離は154.64km、1日の総走行距離は601.60kmに達する。