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ふるさと納税でお墓掃除や空き家管理…豪華返礼品より、故郷とのつながり大切に

2018年05月19日 10:32  弁護士ドットコム

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ブランド牛やイクラ、ウニなどを目当てに、縁もゆかりもない自治体に対し、ふるさと納税をする人は多い。ただ、寄付額に対してお礼の品の額が高すぎたり、地元と無関係な品物をお礼としたりする自治体が相次ぎ、問題視する総務省は引き締めを図っている。そうしたなか、「豪華返礼品」に頼らないサービスが注目を集めつつある。


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●お墓掃除、代わりにやります

「故郷を離れている方の代わりに、お墓参りを行います」


NHKの朝ドラ「てっぱん」の舞台にもなった広島県尾道市。5月10日から、お墓掃除の代行サービスを、お礼として選べるようにした。1万4000円から4万2000円まで3種類のプランがあり、4万2000円の「墓掃除Cプラン」では尾道市内のお墓3区画(3畳分)で除草や供花を行い、作業終了前後の写真を送る。作業はシルバー人材センターが担当する。


各地でも同様のサービスは少しずつ広がっている。千葉県君津市では、1万円の寄付でお墓(1区画、4平方m程度)の水垢や苔などを手作業で洗浄して除去し、草取りやゴミ拾い、線香のお供え、作業前後の写真郵送も行う。


●1万円の寄付で空き家見守ります

放置する危険性が全国的に指摘される「空き家」についても、代わりに見守りをするサービスを寄付のお礼とする自治体が増えている。


別荘地として知られる栃木県那須町。4月から、1万円の寄付で、空き家見守りサービスの提供を始めた。内容は、建物の外観チェックや郵便物チェック、報告書の送付など。寄付が3万円なら、敷地内の草刈り(2人で2時間半程度)もついてくる。


那須町企画財政課の担当者は「空き家を放置しておくと危険で、景観の保持という観点からも問題があると考えた」と話した。


愛媛県東温市でも4万5000円の寄付で、寄付者が希望する時期に3回、3人の作業員が2時間にわたり空き家の異常確認や換気、郵便物の転送などを行っている。


●総務省、返礼品競争に眉ひそめる

総務省は4月1日、地方自治法を根拠に、「ふるさと納税の返礼品は原則として地場産品にするように」との通知を、各都道府県知事に向けて出した。白熱する返礼品競争に眉をひそめる総務省による「お達し」だが、どの程度の引き締め効果を生むかはまだわからない。


ただ、地方を中心に過疎化が進み、空き家問題も深刻さを増している。返礼品の豪華さに隠れたとしても、確実に需要が見込めるお墓掃除の代行や空き家見守りサービスは、じわじわと広がっていきそうだ。


(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama


(弁護士ドットコムニュース)