周/アーロンがワン・ツー・フィニッシュの鮮烈な先制パンチ
プレマ・セオドール・レーシング、2勝を挙げて2018年開幕
5月11~13日
フランス/ポー
5月11日(金) 予選
2018年開幕戦ポー。美しい伝統のレース、ポーはそのコースの狭さから今年も予選はA/B組に分かれて行われた。A組で出走したFDAドライバーの#1 周 冠宇はオフシーズンのテストから好調の波を保ち続け、ついに公式戦にて一番時計を叩き出した。これは国際格式のフォーミュラカーレースにおいて、中国人が初めてトップに立つと言う歴史的瞬間でもあった。
この周に続いたのがF3デビューレースのFDA(フェラーリ・ドライバー・アカデミー)ドライバー、#10 ロバート・シュワルツマン。一方、フリー走行でトップタイムを叩き出し、今年の本命と目される#4 ミック・シューマッハはタイムアタック中、シケインの縁石で足回りを痛めてしまい9番手に沈んだ。
続いてのB組では#7 ラルフ・アーロンが貫禄の走りで2番手のタイムをマーク。F3デビューのFDAドライバー、#8 マーカス・アームストロングも5番手に付けてその速さをアピールした。結果はB組の#27 ダニエル・ティクタム(モトパーク)が僅かに周を上回った為、B組側がポールとなった。
5月12日(土) レース1
2018年の開幕戦、ポーの第1レース。レッドシグナル消灯とともにジャストタイミングで飛び出したのは周 冠宇。そのままリードを広げ独走体制へ持ち込む。周とティクタム、ラルフが一列になっての走行を続けるなか、随所でクラッシュが発生。イエローフラッグ、セーフティカーと入り乱れるなか、レース再開直後、ラルフは一発でティクタムを仕留め2番手に浮上。
事実上、オーバーテイクが不可能と言われるポーの公道コースで見事なオーバーテイクを決めたラルフは、周とともにワン・ツー体制を築いてそのままゴール。国際フォーミュラカーレースで初めての中国人ドライバー優勝と言う歴史的偉業を打ち立てた周は天高く拳を突き上げ喜びを表した。
ラルフもそれに続く。後方ではミッショントラブルに見舞われたロバートが8位。ミックはトラフィックから抜け出せず15位に終わった。
予選2
土曜日の夕方に行われた予選2は一転してウエットコンディション。ここでプレマ・セオドールはセッティングを大きく外してしまいポール争いから脱落してしまった。
B組から始まった予選はラルフ6番手、ロバートが7番手でこれに続く。A組はマーカス3番手、周8番手、ミックが9番手とレース1での輝きが一瞬にして失せてしまい、暗雲が一気にチームに流れ込んだ。
なお、この予選もB組トップがA組トップのタイムを若干上回り、B組側がポールの列に並んだ。レース3のグリッドはこの予選2のセカンドベストが採択され、B組のラルフが2番手、ロバートが6番手。A組はマーカスが4番手、ミック6番手、周が9番手となり、この予選もB組側がポール列となった。
5月13日(日) レース2
日曜日は小雨が降るコンデションとなり、狭い上に濡れた路面でトリッキーなコンディションとなった。またも混乱したレースとなったがマーカスはこの混乱をかい潜って3位でゴール。デビューラウンドで見事ポディウムを獲得した。
ラルフは8位、ロバートは9位でルーキークラス3位を獲得。ミックは10位、周は12位と下位に沈んだ。
レース3
さらに雨脚の強くなった夕方のレース3。このレースは伝統のポー・グランプリのタイトルが掛けられる。誰もがプレマ・セオドールには勝ち目は無いと思えたこのレース。フォーメーションが終了し、フロントローの#39 アレックス・パロウ(ハイテック)の動きがおかしいと感じたその瞬間、レッドシグナルが消灯。
パロウがストール! 大混乱するグリッド上でいきなりトップに躍り出たのはなんとラルフ・アーロン! ラルフは後続をグングン引き離して行く。その後方で次々にアクシデントが発生。残り12分の段階で赤旗が掲示されレースは中断。
しばらく天候の回復を待ったがそのままレースは中止、ラルフの優勝が決定した。ロバートは6位、ミックは混乱の中をかい潜り7位。周は13位に終わった。なお規定周回数の75%をクリアしていない為、付与されるポイントはハーフポイントになることがアナウンスされた。
レース後コメント
#1 周 冠宇
「予選1については満足しています。レースは本当に信じられない結果となりました。中国人として初めて国際レースで優勝したと言うことが本当に嬉しい!」
「予選2は本当にタフでした。後ろからのスタートでオーバーテイクもなかなかできなかった。ポイントフィニッシュではなかったけれど、良いレースができました」
「レース3は18番手スタートで13位フィニッシュ。そこまでカバーできましたが結局雨でそこで終わり。ポイントは取れませんでしたが、中断でポイントがハーフなのでシリーズランキングでそれほど大きな差を着けられずに済みました」
#4 ミック・シューマッハ
「FPではトップタイムを出せて良い状態で予選を迎えました。ところが序盤良かった予選でしたが、サスペンションを痛めてしまいタイムアップならず。レース1では良いスタートを決めて、いくつかポジションアップを果たせました」
「しかし他のドライバーとコンタクトしてしまいさらに他のクルマがそこに突っ込んできて大きくポジションを落としてしまいました」
「レース2は良いスタートを切れて10番手までアップ。レース3は雨は降っていたんだけれどスタートを決められ自分のポジションを作れた。レースは中断になってしまいましたが7位までポジションアップ。次のレースに期待します」
#7 ラルフ・アーロン
「FPと予選ではスピードがのって良かった。敢えてユーズドで走ったらこっちの方が良かった。しかしミスをしてポールを逃してしまった。レース1はスタートもペースも良かった。ティクタムにプレッシャーを掛け続けたよ」
「SC後のリスタートで上手くいき、ティクタムがブレーキングをミスしてそこにノーズを突っ込んだ。少しタッチしたけれどそのまま切り抜けた。2位を取れてシーズンの最初をポディウムで飾れて良かった」
「日曜日はこの伝統のポー・グランプリのウィナーになれて嬉しいです。雨の中を走るのは気持ち良かったし、自分のスピードが速いと言うのは感じていました。
ポイントがハーフなのは少し残念だけれど、私たちは力があると信じているので次を楽しみにしています」
#8 マーカス・アームストロング
「ファンタスティックな開幕戦でした。レース1は良いスタートでした。6位まで上がりさらに1ポジション上がって5位でゴールできました」
「日曜は可もなく不可もないスタートでした。4番手まで上がれたのですが他のドライバーのクラッシュに危うく巻き込まれるところでしたが、ラッキーなことに影響なく走り続けることができ、3位表彰台という思いがけない結果を残しました。最終レースはスタート間も無くぶつけられてしまいました」
#10 ロバート・シュワルツマン
「予選はトラフィックやら自分のミスやらでポールを取れませんでした。
レース1の結果は8位に終わってしまいました。スタートは良かったのですが、オーバーテイクできなかった。リスタート後、ギアがおかしくなりズルズルと順位を落としてしまった」
「レース2は上には行けなかったけれど、ポイントフィニッシュできたことはとてもポジティブです。最後のレースはスタートが決まり、2台のクルマを抜けました。マーカスの影響を受けてしまったけれど、残り時間はティクタムの後ろに着け様子を伺ったけれど、パスには至りませんでした」
「この週末は全体的にスピードがありましたが、少々運が足りなかったかな?
次はもっと良くなるように願います」
テディ・イップ・ジュニア
「周 冠宇が開幕戦の最初のレースでフロントローからスタートしそのまま優勝。大きな進歩を遂げたのは本当に良かったと思います。プレマ・セオドール・レーシングにとってこの週末は、F2/F3/F4で合計8回のポディウムに登壇し、3つの優勝を達成でき、トロフィーが大量にコレクションできて良かったと思います」
「歴史あるポーのグランプリで優勝したラルフにおめでとうの言葉を贈るとともに、このシーズンに期待しております」