トップへ

ストリートダンス史に残る名勝負も! 日本一のダンサー決める『DANCE ALIVE HERO’S』レポ

2018年05月18日 18:12  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 日本は、世界でも有数のダンス大国だ。ヒットソングにのせて老若男女が踊る社会現象も起きた。ダンスは中学教育の必修科目にもなった。多くの人がダンスに親しみを持つようになった一方で、ダンサーが進む道は相変わらず険しいのがリアルなところでもある。ダンスで世界のトップに立つには何をしたらいいのか、そのルートはまだまだ未開拓だ。


参考:GENERATIONS、バラードにおける特徴は? 『ラブリラン』主題歌「また、アシタ」を分析


 ダンス界のスターを作りたい――。そうして生まれたのが、ストリートダンスイベント『DANCE ALIVE HERO’S』。スタートしたのが2005年。それから毎年動員数を拡大し、今や1万2000人を超す世界最大規模のストリートダンスバトルの場となった。


 2018年4月22日、今年も全国各地の予選を勝ち抜いてきた猛者たちが、決勝の地・両国国技館に集結。さらに、このイベントを盛り上げるべくPKCZ®、GENERATIONS from EXILE TRIBE、E-girls、FANTASTICS、®AG POUND、J.S.B. Underground、世界+Beat Buddy Boiら、豪華ゲストによるショーケースも実現した。アンダーグラウンドもメジャーも手を取り合って、日本をダンスカルチャーの中心にしようと盛り上げる。


 今まさに、ここからダンス界の歴史が塗り替えられようとしている。『DANCE ALIVE HERO’S FINAL 2018』の会場に足を踏み入れた瞬間、その予感は確信に変わった。本レポートに目を通したならば、次はぜひ会場でその熱気を体感してほしい。


■ライブで生まれるドラマの数々!


 『DANCE ALIVE HERO’S』の見どころは、なんといっても1対1の緊張感溢れるダンスバトルだ。ダンスファンにとってはもちろん、初めて見る者も見た瞬間にその凄さがわかる。その明快さがダンスバトルの魅力だ。カテゴリーはスタイルごとに分かれており、HOUSE、BREAK、HIPHOP、ALL STYLESに加えて、中学生以下のKIDS、そして3対3で行われる大学・専門学校対抗のRIZEの計6スタイルで戦う。


 国技館のステージに立てるのは、年間を通じて7地区で行なわれる予選大会から勝ち上がったダンサーたち。そして今年から実績者が招待バトラーとして参戦した。組み合わせは当日の抽選で決められ、ステージに上がるまで観客は知らない。対決時に流れる音楽もDJがその場で選曲したもの。楽曲を聞き、1分という限られた時間をどう使うか、即興で構成を組み立ててムーブを披露するのが腕の見せどころだ。


■ここでしか見られないドリームマッチ!


 当然ながら、ステージに立つダンサーは日本最高峰の実力者たち。特に決勝戦は夢のようなカードが揃う。


 KIDSでは、小学生の頃からこのイベントで成長を遂げてきた優弥/YUYAとTHE D Sorakiが王座をかけて激しくぶつかった。RIZEは絶大なチームワークを持つ東洋大学と、個性が爆発する慶應義塾大学が青春のすべてをかけて対決。HOUSE対決では、25年以上のキャリアを誇るPInOが新世代を担うKAZANEを迎え撃った。そしてBREAKでは日本のブレイカー代表格であるKakuとKATSUYAがヘッドスピンとエアートラックスの得意技を炸裂させた。


 特筆すべきは日本KRUMP界を牽引し続けている「Twiggz Fam」のTwiggzと、世界からも注目を集める「KING OF SWAG」のYuseiが、チームの誇りをかけて戦ったHIPHOP対決。プライドとリスペクトを打ち合い、お互いの良さを引き出し合うまさに世紀の一戦だった。


 そしてクライマックスは何が飛び出すか予測不能なALL STYLES。前回優勝者のUMAに挑むのは、前日予選で締め切り20分前にエントリーし急きょ来日が決まったアメリカ人ダンサーのSoul。独特なスタイルで注目を集め、ラストムーブでは靴を手にはめて踊るというサプライズで会場の心を掴んだ。


■もっと知りたくなるダンスカルチャーへの入口


 誰が優勝してもおかしくないハイレベルな戦いが、次々と繰り広げられるさまはストリートダンスならではのスピード感。勝敗は7人のレジェンドダンサーたちのジャッジで決まる。またセミファイナル以降は、オーディエンスもどちらのダンスが心を打ったか、アピールできるのも面白い。ときにはジャッジとオーディエンスの意見が食い違う場面も。


 なぜその判定になったのか、このパフォーマンスのために彼らがどれほどの努力をしてきたのか……バトルを見た後は誰もがその背景を知りたくなる。いつの間にか「次も、この人が勝つところを見たい」「次は、この人に勝ってほしい」と気になるダンサーができている。それがこのイベントに仕掛けられたダンスカルチャーへの入口。まずは興味・関心を抱き、そして徐々に深掘りしていく。底なしの魅力を持つダンス沼にいざなってくれるのだ。


■ダンスで起こす世界革命『ワールドカップ』開催へ!


 「ダンスというコミュニティを育てたい。『DANCE ALIVE HERO’S』が、その場所になるように全世界に発信していきたい」イベント主催者のカリスマカンタローが熱い思いと共に、『DANCE ALIVE HERO’S World Cup 2018』の開催を発表した。優勝賞金は1000万円。会場のビジョンに映し出された瞬間、客席からは歓声が上がる。これほど高額なダンスバトルイベントは、他に類を見ない。革命的ともいえる決戦の日は、8月3日。場所はさいたまスーパーアリーナだ。


 この夏、日本中はもちろん世界中からダンサーが集まってくる。言語や文化の壁を超え、年齢や性別も関係なく、笑顔で競い合えるのがダンスの素晴らしいところ。私たちがこれまで知らなかった圧倒的な才能に出会えるかもしれない。世界の話題を独占するようなスーパースターが誕生するかもしれない。そんな歴史を創るのは、見届ける私たち1人ひとりでもある。そう遠くはない未来、『ワールドカップ』といえばダンスをイメージする日も来るだろう。そのとき2018年夏の世界大会は伝説となる。その目撃者となれるチャンスは、今しかない。(佐藤結衣)