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ディーン・フジオカの「Echo」響く 『モンテ・クリスト伯』復讐鬼に未だ宿る切なき愛に涙

2018年05月18日 17:42  リアルサウンド

リアルサウンド

 実の母子である神楽留美(稲森いずみ)と安堂完治(葉山奨之)に肉体関係を持たせ、じわりと復讐の歯車を動かし始めたモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)。5月17日に放送された『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)第5話では、彼の緻密に練られた計画により命を落とす者が現れた。


 今回のターゲットは、真海を投獄した警視庁・刑事部長の入間公平(高橋克典)。父である貞吉(伊武雅刀)のせいで苦しい生活を強いられた過去があり、異例のスピード出世も父への憎悪が関与している。そんな彼を陥れるために今回選ばれた“駒”は、入間の娘である未蘭(岸井ゆきの)の婚約者、出口文矢(尾上寛之)だ。貞吉は、2人が結婚すれば総資産30億円を未蘭に相続せず、寄付する旨を第4話で遺言に記載した。


 そこで真海は、外務省勤務でマレーシアに駐在していた出口を呼び戻し、入間家が遺産で揉めていることを彼に吹き込んだ。さらに、結婚が相続を不可能にするのならば、結婚する前に殺してしまえば30億円を受け取ることができると、貞吉の殺害もささやく。口では遺産目当ての結婚ではないと言いながらも、未蘭の話に顔を曇らせた出口は計画を遂行する。


 『アンナチュラル』(TBS系)、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(カンテレ・フジテレビ系)と連続殺人犯役を続けて務めてきた尾上。彼のイメージもあり、てっきり出口が貞吉を殺めるものだと思っていたが、意外にも今回彼は被害者側に回ることに。それでも、尾上が見せる、殺害への葛藤と緊張で震える姿は、役柄が憑依したかのような説得力を持っていた。命を奪おうとする役がよく似合う。


 1人目の死者が出たこともあり、シリアスな雰囲気で進んでいった第5話。そんな中で、真海と目黒すみれ(山本美月)が星空の下で言葉を交わすシーンにはホロリとさせられるものがあった。真海と暖を心のどこかで重ねてしまっているすみれ。何度も彼と会うことを試みてきたが、残念ながらこれまで叶わずにいた。しかし、江田愛梨(桜井ユキ)のイタズラにより、すみれは真海の別荘に招かれることに。同シーンでの小籠包で静かに大やけどを食らった猫舌の真海にはなんだか愛くるしさを覚えたが、彼がすみれの前で暖の要素を必死に隠そうとする姿は胸を締め付ける。


 その後、バルコニーに出た真海をすみれが追い、世界は2人だけになる。早々と立ち去ろうとする彼の腕を掴み、「真海さんは、今幸せですか?」と聞く彼女の健気さはもちろん、記憶の中のすみれだけを生かす真海の堅い決意からは、互いにまだ思いやりが残っていることを感じさせる。また、このシーンで挿入されたディーンが歌う「Echo」もエモーショナルに響いていた。今回はイントロ部分が使用されていたが、同じ楽曲であるのに各エピソードで異なった色を加える「Echo」のおもしろさも同時に感じられた回だった。


 さて、忘れてはいけないのが、真海に“イタズラ”を仕掛けてしまった愛梨だ。第3話同様、愛梨は真海にまたがり、お説教されていたが、物理的に下にいる真海が、愛梨を見下すように話すスタイルは心臓に鳥肌が立つ感覚を覚える。


 次なる標的は南条幸男(大倉忠義)。「すみれはもう死んだ」と語る真海は、幸男の宝物であるすみれを壊すように愛梨に命じた。暖を密かに想うすみれと、真海の腕に堕ちる愛梨。ディーンを巡る2人の女性が今後どんなバトルを見せていくのだろうか。(阿部桜子)